『月刊ザ・フナイ』2013年2月号



水素原子の生命活性化作用とシリカ・エネルギー水の威力
―世界の秘水 (elixir vitae (エリクシールヴィテ))が伝えるコロイド現象と原子転換―


藤原肇 慧智研究センター所長/構造地質学専攻 理学博士
唐津義博(からつよしひろ) 霧島倶楽部 シリカ研究所  所長


生命力を活性化する世界の秘水とシリカの役割

藤原 偶然に出た唐津さんのシリカ研究会のゼミで、あなたが作ったシリカ水の見本を拝見したら、コロイドとして乳白色の懸濁状態であり、それがフンザの水と似ているという説明だった。そしてフンザの水の秘密を解明したフラナガン博士が、天才的な科学者であると紹介し、彼の業績についての解説を聞きました。

唐津 フラナガン博士は現在セドナに住むが、彼は若い頃から並外れた才能を発揮して、エジソンの再来だと騒がれたアメリカ人です。11歳のときに誘導ミサイルの追尾装置を発明しているし、14歳でニューロフォン(完全に聴覚を失った人のための補聴器)の特許をとった彼は天才であり、17歳で米国のトップ10人の青年に指名されたほどです。

藤原 彼の業績は確かに素晴らしいと思うし、水素の陰イオン理論は興味深いものだけれど、彼が製造して販売している製品としては、企業秘密にしても製法が封印されていて、どうやってシリカ水を作ったかが不明だ。公開映像で見ると粉末を水に溶かして、それでシリカ水にするらしいと分かるが、幾らナノテクノロジーの時代だとはいえ、まさか石英を粉末にしたとは思えないが……。

唐津 彼の理論は『解き明かされた「不老の水」』(ドリーム書房1999年刊/原書は1986年刊) に書いてあり、商品化したサプリメントの「マイクロハイドリン」は、氷河の水からコロイド状の鉱物を取り出し、そこにシリカの効能を認めたものです。また、天才博士の発明の能力は抜群だから、石英を粉末にするようないい加減なものではなく、画期的な製法を持っているはずだと確信します。

藤原 シリカに強いあなたがそう思うなら、私としては反対する理由は何もないが、商品がサプリメントであるのが気になる。米国のサプリメントや化粧品の分野は、いかがわしい金儲けビジネスが多く、ユタ州はネズミ講ビジネスの根拠地で、詐欺商法では日本に20年も先行している。 それに対してあなたが作ったシリカ水が、乳白色の懸濁したコロイド水だと目撃したし、水の中で水素を発生している状況や、その元になるクリスタル・シリカに触ったので、それが鉱物であることも確認できたから。地質のプロとして安心した次第です。

唐津 そうであればとても嬉しいです。

藤原 一週間前にフランスから戻ってきた私の旅は、ピレネー山脈の裾野にあるルルドの泉を久し振りに訪れて、かねてから私の仮説を検証するために、ルルドの聖水を持ち帰ったので差し上げるから、あなたの手でテストしてみてください。この水には大量のマグネシウムと水素が溶融し、それが奇跡の聖水の秘密を構成しているが、断層と苦灰岩化の組み合わせのせいで、きっとシリカの含有率も多いと予想しています。

唐津 ルルドの水をお土産にいただいた上に、地質学の専門家である藤原さんによって、私のシリカ・エネルギー水の品質だけだなく、クリスタル・シリカを評価してもらい感謝します。また、フラナガン博士と同じ手法ではないが、彼の理論を参考にして仕事を進めたのだし、似たような効果を持つシリカ水を作って、それが健康増進に役立つと信じているので、評価していただき大いに自信がつきました。 最近になって盛んに言われているのは、ルルドの水は水素イオンの活性が著しく、水素還元水として抗酸化作用が顕著だから、生命力の活性化と治癒能力を持っているのだし、それが秘蹟水としての価値になっています。

藤原 ルルドの泉の特性に関しての議論は、あなたの検査が済んだ段階でやるとして、先ずは水素イオン水について検討しましょう。

唐津 フンザの水についての評価に関しては、フラナガン博士が本の中に書いている通りであり、コロイド化したシリカ水の表面張力が低く、そこに決め手があるというフラナガン理論に賛成です。また、コロイド状のシリカを溶かした氷河水は、活性水素によって特徴付けられており、水素イオンに富むアルカリ水だから、不老長寿のためと健康に良いはずです。私のシリカ・エネルギー水が持っている還元作用は、フンザの水と共通するものが多いし、Si(シリカ) がコロイド状態になっているので、界面活性化により体液の大掃除をするのです。

クリスタル・シリカが秘めた威力とその製法

藤原 唐津さんが作ったクリスタル・シリカは、手に取ると金属光沢で白銀色に輝いており、手触りは金属鉱石に似ています。おそらく、製鉄と同じでアーク炉を使って行う化学反応により、珪石を溶融したのだろうと思うが、水晶からどうやって作ったということに関して、秘密があるだろうが教えてもらえますか。

唐津 原理としては還元精錬法の活用であり、水晶と炭を一緒にして2400度に加熱して、炭酸ガスとして酸素と炭素を逃がせば、99.9%の純度のクリスタル・シリカが作れます。それをMgとSiの含有が飛びぬけて高い、霧島の「始元水」の中で醸成させることで、シリカをコロイド状にした水を作れば、フンザの水と似たエリクシール(秘水)が生まれるのです。この水は陰イオンを持つ水素イオン水として活性酸素を中和して、水として老廃物を体外に排泄するから、欲しいと希望する人におわけしています。

藤原 唐津さんが作ったシリカエナジー水は、確かに乳白色をして弱アルカリ性を示すが、愛好者が増えても量産はしないし、あなたは金儲けは趣味に合わないので、ビジネスとして販売する気もないという。それならば思い切って社会の為に、地域通貨の思想に結びつけることで、医療改革の武器に活用したらどうですか。

唐津 そういうことよりも天の贈り物として、苦しんでいる人の救済にこの水を世の中に広め、シリカの価値を人々に知ってもらいたい。なにしろ、このシリカは熱伝導率がとても良いだけでなく、一兆ヘルツにテラ波を出しているので、水をイオン化する力が非常に強いから、水と反応して水素イオンを発生するのです。

藤原 そうですか。酸素と水素が作る四面体の水は、珪素と酸素の四面体のシリカと構造と同じで、ポリモーフィズム(多像形態)で繋がっています。水分子のプラスの電荷を帯びた水素原子は、マイナスの電荷を帯びた形で水素結合を作り、酸素原子一個に対し二個の水素原子が、繋がり合って水のクラスターを構成しています(第1図)。 それと同じパターンでシリカの四面体構造は、シリカ一つと酸素二つの組み合わせで繋がり、それで水とシリカが構造的に相似象を作ります(第2図)。

唐津 その還元元素として水素が存在しているのです。

藤原 周期律表を見れば総ての元が水素だから、水素が根幹に存在するのは当然です。物質とは何かという根源について問えば、宇宙物質は素粒子になるはずだし、最近ジュネーブの欧州合同原子核共同機構(CERN)が、ヒックス粒子について発表している通りで、物質に根源は核融合の元の水素原子だ。だが「神の粒子」を論じても始まらないので、地球のレベルでこの問題を扱えば、地殻のほとんどが珪酸塩鉱物だという事実がある。 しかも、海面下1Kmまでの元素の割合をクラーク数と呼ぶが、多い順に酸素(O)、珪素(Si )、アルミ(Al)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、水素(H)の順になる。酸素と珪素はクラーク数の一位と二位です。

唐津 地殻では水素ははるかに少ないが、水の問題で考えるなら水素は重要だし、ここで取り上げている生命現象では、水素の還元作用の効果が問題になります。フラナガン博士がフンザの水の特性について調べ、氷河乳の存在が健康と長寿の維持を保障するもので、ナノコロイド化した水素は決め手であり、コロイド化していることが重要だと発表したが、日本では一部の好事家が評価した程度です。

藤原 それを水素の還元水と呼んだわけですか。

唐津 そうです。水素には還元作用をする働きがあるから、そういうことを十分に考慮した形で仮説を作り、それをサプリメントの事業にしたのです。還元水や水素イオン水が人々の話題を集めて、一部のマスコミが取り上げるようになったのは、活性酸素の持つマイナス作用が注目された、二十世紀も末になってからのことでした。それは九州大学の白畑實隆(しらはたさねたか)教授が論文で、電解陰極水と水素イオンの働きについて論じて、抗酸化機能を発揮すると発表してからです。

還元イオン水ブームと水素還元水を作る技術論

藤原 フリーラジカルの働きを抑える機能として、還元イオン水ブームが日本を包んだことで、水素還元水という言葉が流行しましたね。

唐津 ミトコンドリアの役割に注目が集まり、活性水素の働きが重要だと理解されて、爆発的なアルカリイオン水ブームが起きました。フラナガン博士のフンザ水も同様に注目を集めて、シリカが時代の花形として脚光を浴び、家電メーカーは千載一遇のチャンスとばかり、エアコンやヘアドライヤーなどで、マイナスイオンを生む商品を売りまくりました。

藤原 そのマイナスイオンという言葉ですが、これは科学概念の陰イオンや負イオンではなく、和製英語の商売用の言葉として生まれ、大ブーム現象を起こした後ですたれてしまった、手垢のついた商売用のイメージ言語です。その辺に微妙な問題を含んでいるので、陰イオン(a-ion)か負イオン(negative-ion)という言葉を私自身は使い、変なイメージ言語の乱用はいけないが、続いて還元水や水素水が流行語になった。薬品や化粧品は健康に密着した商品であり、流行語でブームを作る特技を持つ人が支配し、イメージ戦略で商売が成り立つ分野なので、次々と新造語が登場して蔓延してしまいます。

唐津 だから、還元水の名前は過去十年ほどの間に、日本人なら誰でもが知るようになったのであり、家庭用のイオン浄水器も大いに普及したし、還元水の名前は過去十年ほどの間に、日本人なら誰でもが知るようになったのであり、家庭用のイオン浄水器も大いに普及したし、還元水の浄水器ビジネスは盛況を呈しました。老廃物や毒素を体外に排出するためには、この活性水素が活性酸素と結合して、陰と陽のイオンが打ち消しあうから、安全な水になるという説明は分かり易かった。だから、白畑教授はマスコミ界の人気者になって、圧倒的な注目を集めて時の人になった。しかも、電解環元水整水器を使うことによって、健康に良い水を作る発想はタイムリーだった。

藤原 そうですね。既得権に忠実で創意に乏しい体質を持ち、排他的な学閥や縄張りに支配されているために、国民の病気を予防して健康を増進するより、治療や処置に重点を置く日本の医療制度の中で、白畑先生の発想は抜きん出ていました。それは彼が農学部門から遺伝子を研究し、生命工学を専攻しているせいだと思います。 だが、ミトコンドリアの矛盾に満ちた働きに注目し、せっかく画期的なアプローチをしているのに、惜しいことに電気分解の成果に捉われ、環元水を作る装置とプロセスにこだわり過ぎた。

唐津 そういえば確かにその通りであり、白畑先生はメキシコのトラコテの井戸水を調べ、活性水素を多く含むことに気が付き、それで水素ガス添加水を開発したのです。だから、浄水器を使って電解環元水を作る時に、カルシウムなどが陰極側に吸着して、効率が低下するのを防ぐ対策を考え、それで技術論が先行してしまったようです。

藤原 活性酸素の消去に活性水素が貢献して、電解環元水が有効だというのは結構な話だが、それは家庭用の電解環元浄水器ではなく、東京都や大阪市が水道の浄水場における問題として、技術的にどう扱うかの事柄に属します。 塩素やオゾンを使って水道水を殺菌する代わりに、水素イオンをどう利用するかという、インフラ整備の問題に発展しなかったのは残念です。

唐津 でも。白畑教授は電解環元水を紹介する過程で、細胞内の活性酸素を取り除く活性水素について論じ、がんなどの生活習慣病に有効だとして、治療効果を強調したのは大きな貢献だった。 白畑先生は陰極と陽極に炭素棒と金属を使い、それで水の電気分解を行っているが、私は両極にシリカを使って通電したら、陽極の酸素と陰極の水素が発生したのです。そのバランスが良かったのをヒントにして、細胞の基底膜にシリカが存在すれば、体内で酸素と水素が出来ると考えた私は、酸素は肺呼吸で体内に入るにしても、体内で発生する水素に酵素が作用することで、水素原子が生まれると思い当たりました。

藤原 その可能性があってもおかしくないが、日本医大の太田成男(おおたしげお)博士はミトコンドリアに関して、日本で最も卓越した専門家だから、彼がどんな見解を持つかについて知りたいところです。 それに西原研究所の西原克成(にしはらかつなり)博士は、ミトコンドリアにおけるモデリングの権威であり、生物進化に重力の作用を取り入れて、流動電流で生体の作り変えを論じている。そして、ダーウィンよりラマルクを評価しているから、進化に対して独自の発想をするので、きっと良いアイディアを持っているはずだし、シリカと重力の関係性は未来の課題です。

唐津 細胞の中には莫大なミトコンドリアがある。その細胞膜はシリカで構成されているし、生体のエネルギー通貨ともいえるATP(アデノシン三リン酸)の合成で、ミトコンドリアが活性酸素を生み出すために、生命活動が衰え生活習慣病になります。それを活性水素の働きで過剰酸素を無害化することが、ここに来てナノテク時代に脚光を浴び、それが最先端の技術と結びついています。 しかも、シリカが産業界において重要度を増しています。光ファイバーやマイクロプロセッサーがコンピュータの発達で大活躍しており、最近では太陽光を電力にするために、液晶ソーラー・パネルが脚光を浴びています。いずれもシリカを原材料に用いた製品です。

フランスの国家機密とクリスタルの加工技術

藤原 半世紀前はシリカの代表は水晶で、ガラスは家庭用に利用されていたし、トランジスタがシリコンチップを使って、ソニーが携帯ラジオでパイオニア役を担ったが、小型ラジオを作った程度の技術でした。 また、珪酸塩鉱物の王者であるシリカに関しては、私はゼオライトや珪藻に関心を持ったが、水晶しか当時は身近な存在ではなかった。それにしても、38億年の生命の歴史を刻むバイオの世界は、ナノテクの実験データを秘めた宝庫だから、自然現象が教える教訓を学ぶならば、地球は最高の実験設備を誇る博物館です。

唐津 自然は実験を繰り返して現在に至り、生きた教材をあらゆる機会に見せているのに、われわれはそれから学ぼうとしません。

藤原 古代の人は自然を観察して教訓を引き出し、そこから多くのものを学んでいるのに、現代人は教科書にあるものは読むが、自然から学ぶのを忘れてしまった。 それで思い出す貴重な体験がありまして、1965年の末だったと記憶するが、私にとって画期的な人物と出会い、それが人生に大影響を与えることになり、それ以降にシリカが身近になったのです。

唐津 どんな出会いが画期的だったのか、とても興味深いという感じがしますが、それはどんなものだったのですか。

藤原 グルノーブル大学理学部の研究員の形で、武田薬品の研究所の和田猛郎(わだたけお)博士が赴任し、彼が私の部屋を訪問した時に、集めていた化石や鉱物標本を彼に見せました。その中に小さいが水晶の結晶があり、普通は柱面が目立って発達しているのに、その水晶は上と下の錐面が見事に発達して、結晶の透明度が抜群だったのです(第3図)。 だから和田博士は感激して目を見張り、「これは世界のシリコン・ウエハスの種水晶だ」と叫び、採集した場所を見たいと頼んだのです。

唐津 そんなに珍しい純粋な結晶だから、シリコンの種水晶に使ったのですね。

藤原 採集した現場は上部ジュラ系の黒色泥灰岩で、完全な環元環境の堆積岩の風化層の中に、水晶の完璧な結晶が輝いていたが、大きさは1カラット以下の小粒でした。 和田博士の説によりますと、ガラス技術に伝統を持つフランスは、ヴェルサイユ宮殿の鏡の間を作っており、世界一のガラス工業を誇っていました。原子力企業の代表であるサンゴバン社は、世界の苛性ソーダ工業界の王者であり、この水晶がサンゴバンを育てたらしい。だから、彼はフランスの国家機密に属すと断言した後で、シリカと水の結晶構造を伝授してくれ、お蔭で私は水の結晶学について学べたのです。

唐津 製薬会社で研究をしていた人が、なぜ水の結晶構造に詳しい上に、水晶について精通していたのですか。

製薬の奥義と粘土鉱物のポテンシャル

藤原 和田博士は大阪大学で結晶学を専攻し、修士も博士課程も水の研究を行った奇才で、私は彼から水のクラスターを学んで、水の三相変化とプラズマ相の関係を理解した。そうした中に氷の結晶は水より軽く、構造的に氷は格子内がスカスカであるために、メタンが中に入ったハイドレートがある。これが氷のシャーベット生成原理であり、40年後の今になって話題になったが、日本海にはメタンハイドレートの膨大な埋蔵があって、エネルギー問題を救う日が来ます。 彼が粘土鉱物に精通していた理由は、薬を作るノウハウが関係していた。製薬会社の企業秘密に属しているが、錠剤の中心に粘土が装着してあり、その周辺を漢方薬で包み込んでから、その上を西洋医学の薬剤で固めた後で、外装の仕上げとしては糖衣錠にする工夫がありました。タケダのほとんどの錠剤の中核部には、Mgに富む火山灰が封入されていて、それが薬効の鍵だと分かってしまい、これはとても面白いプロセスだと思いました。医者や薬剤師は西洋的な薬だと考えて、患者も近代的な合成薬だと信じ切って、半分は漢方の薬を飲んでいるのです。

唐津 それは興味深い製薬会社の企業秘密だし、漢方薬が緩衝剤の役を果たすことで、タケダの薬は人気があるのかもしれない。また、錠剤の中心部に珪酸塩の粘土があることは、細胞の基底膜がシリカであるのに似て、偶然にしても相似象が生きている感じであり、とても興味深い話だと思う次第です。

藤原 しかも、フランスはシリカの研究が世界的に進んでいて、グルノーブルの周辺はドフィーヌ型双晶と呼ばれる、特殊な水晶の産出で知られています。そんな関係で、ある時に研究者の一人が、活性シリカの存在について教えてくれ、調べたら日本や米国では誰も知らないのに、フランスには密かに研究する人がいて、そんな隠れた知識がこの国にはありました。

唐津 それで和田博士はフランスに出かけ、水やミネラルの研究をしたのですね。

藤原 そうかも知れない。また、相乗効果による薬効のお蔭もあるし、武田薬品の漢方の蔵書は業界一であり、それを読んだ和田さんの知識を吸い取って、私は粘土鉱物の世界を習得したのです。 また、シカゴ大学で薬学を学んだ私の娘が、医学部で脳内ホルモンの研究をしてから、世界最大の製薬会社であるファイザーの中央研究所で10年近く仕事をしたので、薬剤について自力ではないとはいえ、私は「門前の小僧」を体験できました。

唐津 それで水やシリカについての知識が、豊かである理由が分かりましたが、製薬会社の企業秘密に粘土があり、その縁結びが水晶だとは興味深いことです。

藤原 和田さんと一緒にイタリア旅行をして、ドロミチ山塊を訪れる体験をした時に、カルシウムとマグネシウムの違いを学んだ。 水とシリカの構造は正四面体であるし、同じ家族の兄と弟の関係に等しいが、マグネシウムは構造的に八面体であり、母は同じでも父親が違う兄弟に似て、同じ屋根の下に暮らしても僅かに違う(第4図)。 だから自然が時間をかけて特殊変性したマグネシウムは、器機や化学分析では測定できない性質を持ち、50年後の科学でも説明できないから、神秘性を維持し続けるのだと思います。 化学者や鉱物学者の頭脳と知識では、ルルドなどの霊水の秘密は解けそうもなく、活性シリカは謎に満ちた存在だと思うし、私の仮説を説明するのは難しいから、それは別の機会に譲ることにしましょう。

唐津 そんな世界があるとは面白いですね。

藤原 だから、薬の世界は複雑怪奇そのものであり、昔から「病は気から」といわれるように、毒を希釈して薬とした商売が存在し、合成薬が漢方薬に敵わない理由がそこにある。 しかし、理解力が進んで科学知識が増加して、新しい分野が開拓されナノテク時代になり、分子や原子のレベルに研究が進んだお蔭で、原子の秘密に迫って水素水まで登場しています。 それにしても、現在の日本における最先端の分野において、シリカと水素原子の関係については、どんな具合に論じられているのでしょうか。

コロイドの電位とシリカの果たす役割

唐津 最先端になるかどうか知らないが、ナノテクノロジーの発達に伴って、いろんなことが明らかになっています。 活性水素の問題を取り上げるならば、シリカ分子のクラスターが懸濁状態を維持するが、キャリヤーとして働くそのメカニズムに関しては、活性酸素のイオンを消滅させる上で、水になり無害化してしまうという程度です。また、負の電荷のゼータ電位を安定させ、赤血球が凝集する血液のゲル化を防ぐことで、健康維持と老化の予防になっています。

藤原 ゼータ電荷の名前は表面張力との関係で、化学の授業で聞いたと記憶しているが、その働きと意味することに関して、具体的な例ではどうなっているのですか。

唐津 コロイド粒子をマイナスイオンが覆い、負の表面電位に包まれた状態に対して、それをゼータ電位と名づけているが、電位が増加すれば粒子の安定度が増すし、低くなれば粒子は凝縮しやすくなる。また、赤血球の凝縮が妨げられることで、血液の流れが良くなることで、より健康になり、それが病気の予防に貢献することになるが、電気遊動と同じで振動が関係するのです。

藤原 血液をサラサラにするシリカ水の効果は、血管内での目詰まりを防ぐためで、吸着作用とイオンの働きの活用です。 油田と人体はともに流体力学の世界であり、石油開発ではゼオライトを利用して、水流の渦で詰まりを除いているから、そこに流れの効用が活用されています。 イオン交換樹脂に使っているゼオライトは、シリカが主成分で空隙性が大きいために、触媒としての能力が卓越していますが、ここにも一種の相似象の利用があるのです。

唐津 油田と人体が共通なのは興味深いし、そこにガイアドクターの面目が躍如としており、それをシリカが結びつけることは、運命とはいえとても面白いめぐり合わせですね。

藤原 石油開発に従事した初期の頃の関心事は、クラーク数の前半にある珪酸塩鉱物であり、後半にはアルカリ金属の炭酸塩が、油田の発見と強く結びついていました。 だが、関心がマグネシウムに重点が移ると、最終的に「マグネシウム循環」に至って、それが私のエネルギー論の骨格になり、『生命知の殿堂』(ヒカルランド刊 2011年)の結論になったのです。マジック、マグネット、マギなどの語をはじめ、神秘で偉大な力を持つものの語幹に、マグ(mag)という音が存在している理由には、マグネシウムへの崇拝があったのです。

唐津 それは『生命知の殿堂』で興味深く読み、なるほどそういうことかと思ったし、ルルドの泉も延長線上にあると分かり、マグネシウムの役割を再確認させられたが、地球と人体とは見事に対応していますね。

藤原 何しろ、生命は地球の産物だから当然です。それにしてもゼータ電荷や電子遊動など、唐津さんは電子や波動問題に詳しいが、背景に持つあなたの経歴の中の記録には、電気関係の仕事でもあるのですか。

音響の持つ波動特性とそれを受信する感覚の養成

唐津 直接そうではないにしろ関係があります。若かった時の私はトヨタの製造現場で、パワー部門から艤装を経て組み立てをやり、エンジンの回転数や振動による唸りから、車の安定性能を判断する訓練を受けたし、最後には品質管理を叩き込まれました。 その時に多重相関に関しマトリックスを使い、不良リスクのシミュレーター分析をして、振動騒音の実験で不快な音を調べた。そして、波動の共鳴現象が分かるようになったが、可聴音の領域は限られているのです(第5図)。

藤原 そうですか。あなたは自動車の作り方の訓練を通じ、振動特性や共鳴に関しての感覚を磨き上げたし、波動を体感する能力を身に着けた。昔の日本のメーカーには匠と呼ばれる人たちがいて、そのお蔭で高品質の製品を作った。だが、今では海外移転で人材を育てないので、日本の企業は人材の枯渇が著しくなって、名人芸に至る熟達度が劣化してしまった。

唐津 自動車は空気の中を飛ぶ飛行機に比べれば、陸路を走るので振動が複雑に絡むのです。だから、ガタガタ道やカーブで曲がる時には、どんな形で振動に反映するかを調べ、フーリエ変換で波動関数を使いまして、目に見えないエネルギー計算もやりました。そうした波動の研究をしたお蔭で、電波でも電磁波でも扱い慣れるようになり、波動や振動に関して理解できたのだし、放射能でも波動として扱えるのです。

藤原 波動に対しての鋭敏な感受性の涵養は、90%が水である脳の共振作用によって、ホルモン分泌を支配しているだけでなく、人間の細胞を作る体内での水の共振が、健康維持の基本だからとても重要です。 しかも、体液の中にはミネラルが含まれていて、コロイド粒子として懸濁状態で存在し、その電子の持っている波動特性に従い、超音波のレベルで共鳴しているから、特に倍音の持つ不思議な陶酔感には、凄いメッセージを読み取れるのです(第6図)。

唐津 私が今いる所ではクリスタル・ボールを使った、倍音を聞いて楽しめる環境に恵まれており、瞑想効果を簡単に体験できるお蔭で、倍音の持っている威力を大いに味わっています。また、水琴を使った高周波療法も普及して、ビジネスとしても盛況だといわれているが、そうやってストレスの克服ができます。

藤原 水流や風の音のような自然の音には、情緒性を高める非整数倍音があって、それが間脳を活性化させると言いますね。私は地球のストレスを扱う専門家として、構造地質学を十数年も学んだお蔭で、そこから学び得たことを人間や社会のストレスの問題に使い、日本の歪みについて診断してきました。だが、唐津さんの場合は自動車の走り方から、異常についての診断能力を身に着けて、それを波動と結びつけてシリカを扱い、シリカ・エネルギー水を作るに至ったのは凄いですね。

唐津 トヨタの製造現場で働いた体験を通じ、エンジンの回転のチェックや振動音を調べたが、回転音は機械音の低周波が混じりこみ、それを聞き分ける感覚が必要です。機械の場合は低周波の雑音が大きな問題であり、車体にも人体にも悪い影響を及ぼし、特に乗る人に嫌な気分を与えることが多い。 かつては共鳴現象を余り重要視せずに、耐久力や燃費の問題が研究の主体だったが、海の波が持つ波長の唸り現象により、タンカーが折れて沈没する事故が起きたことや、飛行機が衝撃波墜落する現象には、倍音や共振が関係していることが分かった。


低周波による障害と振動の持つ絶大な威力

藤原 これだけ電子化が社会を覆ったお蔭で、電磁波による障害で健康を損なっており、病気になる人や不審死が激増しているが、低周波の悪影響についてどう考えますか。

唐津 音に関しては人間の耳にフィルターがあり、体に悪影響する音は聞こえないようになっているが、低周波は体で受け止める振動です。地震もそういったタイプの波動に属しており、ものすごいエネルギーを持っているが、振動を伴う低周波は非常に危険な影響を及ぼす(第7図)。 振動は人間の器官と共振するために、例えばトラックの運転手は胃の具合が悪くなり、胃の噴門が炎症を起こして胃がんになる危険性が増加する。また、電化製品のコンプレッサーは脳を傷めるし、燃費よりもバイブレーションの問題の方が重要度は高く、振動と騒音がトヨタの筆頭研究テーマでした。

藤原 だが、大事なものは目に見えない。しかし、消費者は燃費やスタイルに注目して、それが流行として自動車市場を支配している

唐津 バイブレーションの恐ろしさは大変なものだが、大衆はそれに気づかないのは世の常であり、それは水の良し悪しと全く共通です。 ただ、そこに気づいたのが日本の自動車会社だったお蔭で、今の日本車はエンジンの音が大変静かです。それは騒音や振動を遮断するために、新日鉄などは鉄の中に空気層を閉じ込め、振動を伝えないように技術革新をして、品質の良い製品を作っているのです。

藤原 だから、新日鉄の鋼鉄と中国や韓国の鋼鉄は違い、それが自動車の品質の差を決定づけているのに、ジャーナリストやエコノミストは見かけだけで、価格や数量で比較する能力しかないから、彼らの発言は信用できないのです。 同じことは水に対しての評価でも言えて、数値に表れるものだけでは質は分からない。

唐津 中国の自動車生産台数が激増しており、新幹線もどんどん延長しているようだが、彼らは振動や波動のことは研究せず、数量を増やすことばかりに熱中している。 また、最近の日本人も誠実さや正直さを忘れ、粗悪で危険な原子力発電所を大量に造ったし、自動車は良くなっても道路はお粗末で、笹子トンネルで天盤が落下した事故が起きた。これは車が走る時の振動を考慮せずに、道路と通気孔をコンクリート盤で区切って、それで安全だと誤解してきた結果です。 だから、人間の耳に聞こえる領域だけに注意を払い、聞こえない領域の音を無視するようになることで、これからもトンネルの落盤は続発する危険性があるし、原発は次々に放射能を撒き散らすだけで終わる可能性も否定できないのです(第8図)。

藤原 政治が国民を忘れ利権化しており、見かけ倒しの愚民政治が横行しているが、「大事なものは見えないで隠れている」とサン=テグジュペリの星の王子様が言った言葉は真実です。 日本も中国も権力者に食い荒らされ、急速な勢いで亡国化が進んで行く中で、国民は何も考えずに犠牲になっているが、国民はもっと賢くならないといけない。それは、良い水を飲み低周波から身を守って、奴隷の境遇から脱却するのと同じであり、考える人間になる必要があります。

唐津 一億人が金の亡者に成り果てたせいだが、それにしてもストレスで国民の健康が衰えており、特に水道水の劣化が致命的な状態です。




珪石器時代の水素水とシリカの役割とプラズマ現象

藤原 旧石器から新石器に時代区分が移ったように、現在は情報革命が始まっているのだから、それを可能にしたシリカになぞらえて、今は珪石器時代の始まりを迎えています。だから、シリカが生命活動にとって重要で、水の中に溶け込んだシリカの働きが注目され、化学者だけでなく薬学者や医者まで、シリカについて熱心に研究し始めて、時の話題を集めるようになりました。

唐津 それがシリカの価値への評価の高まりで、特に活性水素を作る機構が注目を集めて、私の仕事もたいへんやり易くなったし、病気にならずに元気な人の増加に繋がりました。その代わりに活性酸素が悪者になったし、酸素の重要性っが昔ほど評価されなくなったが、過ぎたるは及ばざるがごとしの傾向もある。

藤原 私もその点が気になったこともあって、活性水素に触れた本を何冊か読んでみたが、及川胤昭(おいかわたねあき)さんと鶴見隆史(つるみたかふみ)さんの共著で、『がんが消えた!』(幻冬舎刊)という本の中に、私の仮説に近い発想があるのを発見した。この本は常温でのプラズマ現象について論じており、真空プラズマ放電管の中において、水素原子が生じてイオン化することにより、フンザの水の特性を解説しています。ただ、ルルドの水に関しての推論は間違っているが、その件はいずれ検討するとして、私は常温プラズマの存在だけでなく、常温核転換を信じることについては『生命知の殿堂』の中で論証したから、ここでまた繰り返す必要を感じません。

唐津 それは藤原さんがケルブランの仮説を支持して、NaがCaに原子転換した事実を肯定した記事であり、私もそれに対して賛成したいと思う。

藤原 ケルブランの仮説を持ち出さなくても、それは70年も昔に天才科学者の楢崎皐月(ならさきこうげつ)が、カタカムナ仮説の中で主張しており、彼が言うミトロカエシという自然条件は、まさに地上における常温プラズマを指す。

唐津 でも、藤原さんが楢崎皐月の名前を出せば、藤原さんがオカルト化したとか神秘主義だと言われて、無用な誤解を与える恐れがあります。

藤原 世界は神秘に取り巻かれているし、神秘の中で説明できたものが科学であり、無限の自然の一部しか人間は理解せず、古くても価値あるものは幾らでもある。それに楢崎皐月は製鉄技術者として、環元製鉄の専門家として活躍したし、戦後の一時期は植物波農法(電子農法)を唱え、農民たちに強い影響を与えた人です。しかも、陰陽イオンの専門家として活躍して、『静電三法』という名著も書いており、洗髪用コンディショナーは彼の弟子たちの発明だし、尊敬に値する仕事も残しているのです。

唐津 その意味では水素水の先駆者であり、無視することが出来ない存在として、オカルト呼ばわりするのは失礼で、再評価に値する人物なのは確かです。

藤原 われわれは宇宙開発に熱を上げたが、月や火星の土や石について知っていても、地球の石や岩の実態をほとんど知らず、シリカについても僅かなことしか知らないし、水の性質についても無知でいます。

唐津 その意味で「無知の知」を知る上で、この対談はとても学ぶものがあったが、知らないことに気づくという意味では、これからの話の進展が大いに楽しみです。   (つづく)



藤原肇(ふじわらはじめ)  1938(昭和13)年、東京都出身。仏国グルノーブル大学理学部にて博士課程(専攻は構造地質学)を修了。多国籍石油企業の開発担当石油ジェオロジストを経て、米国カンサス州やテキサス州で石油開発会社を経営。コンサルタントならびにフリーランス・ジャーナリストなどに従事する。現在は鹿児島県霧島市に本拠地を置き、慧智研究センター所長。著書に『夜明け前の朝日』(鹿砦社)、『賢く生きる』『さらば暴政』(共に清流出版)、『生命知の殿堂』(ヒカルランド)、『Japan's Zombie Politics』『Mountains of Dreams』(共にCreation Culture)、他多数。 読者が運営する藤原肇氏のサイトに 【宇宙巡礼】http://fujiwaraha01.web.fc2.com/ がある。

唐津義博(からつよしひろ)  1951(昭和26)年、鹿児島県阿久根市出身。鹿児島県立阿久根高校卒業。関東自動車工業に入社、4年間で全製造ラインを経験。その後、トヨタ系車両の波動研究に従事。第一法規出版、鹿児島県川内地区駐在員を経て、現在、霧島倶楽部シリカ研究所 所長。    【霧島倶楽部】〒899-4201 鹿児島県霧島市霧島田口2460-1  TEL0995-64-8887



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