夕刊フジ 1998.03.01



藤原肇著『朝日と読売の火ダルマ時代』ってホント?

リクルート株を取得して捜査逃れた 朝日と読売






 「リクルート事件」で、朝日新聞の元首脳がリクルート株を取得、検察と取引して捜査を逃れた!? マスコミOBや財界人との対談形式をとっている著作『朝日と読売の火ダルマ時代』が、“ショッキングな内容”から話題を呼んでいる。その内容は・・・。

 「ジャーナリズムの衰退が、今の日本の破壊を生んだ一因になっています。魚は頭から腐るといいますが、ジャーナリズム界の頭(朝日と読売)が腐ったら本当にどうしようもなくなる、との思いから出版しました」と説明するのは、著者で米国在住の国際コメンテーター、藤原肇氏(59)。
 「七年かかって二十人ほどの有力なジャーナリストOBや財界人から話を聞き出し、うち十数人分を原稿にしました。内容が内容だけに、何度たずねても話してくれない人もいましたが、相手以上の情報を入手してはそれをぶつけて矛盾点をつき・・・という作業の繰り返しでした」  
原稿ができあがった後も、「ジャーナリズム界のいわばタブーに踏み込んだものだっただけに引き受けるところがなく、四十社以上の出版社から断わられました。最後に、二十年来の付き合いがある出版社に頼み込んで本を出すことができました」という。
 その一部を引用すると・・・。《リクルート事件は(朝日)横浜支局の特ダネのお陰で、あれだけ大規模な贈収賄事件が発覚したが、リクルート株は毎日の幹部や記者に対しても、大量にばら撒かれたと朝日の内情に最も精通した広報担当の青山常務が、私だけでなく多くの人に発言しています。現実に、渡辺(誠穀)と一柳(東一郎)の元・前社長には10000株で、中江専務(当時)は7000株の株が渡っています》
 もし、事実なら、捜査の手が伸びてきてもおかしくないが・・・。
 《現在テレ朝の社長をやっている伊藤邦男は、朝日に入社した最初の任地が八王子で、昭和28(1953年)頃に地検の八王子支部にいた、前田宏検事と八王子会の仲間でした。(中略)その縁を使って伊藤が使者に立ち、「理由はほかのことになるかも知れないが、うちは社長が辞めるから勘弁して下さい」ということで、取引が成立したと言われています》
 朝日新聞読者広報室に問い合わせたところ、「すべて事実無根です。弊社には社長以下だれ一人としてリクルート社の未公開株の譲渡を受けたものはおりません」との返答。地検との取引についても「全く事実無根」としている。
 同社では「ありもしない話を対談という形でデッチ上げた無責任極まる出版物であり、会社や首脳の名誉を傷つけ、社会的信用を失墜させようとする悪意に満ちた本」として、発行元の国際評論社(東京都中央区)と藤原氏に対し、記事の訂正と謝罪を求める抗議文を出している。
 これに対し、国際評論社は「朝日から善処してほしいという内容の速達が届いたが、何をどうしろというのか分らない。本にも出てくる朝日新聞関係者からは『金は出すから、名前を出さないでくれ』と言ってきた人もいる。朝日はそういう新聞社なんだ」と受けて立つ構え。
 同社関係者の一人は「私は(本に登場する)朝日の一柳も渡辺も若いころから知っている。向こうがふっかけてくるなら、ケツをまくって、彼らの“秘密”をすべてバラす」と反論しており、場合によっては泥沼の法廷闘争となり、スキャンダルの打ち合いに発展しかねない情勢だ。
 読売新聞についても、《(リクルート事件で)悪知恵に長けた者は差額だけを受け取り、リストにも名も出さないのが手口だった》と記されている。
 藤原氏は昭和十三年、東京・神田生まれ。都立上野高校から埼玉大学理学部地質学係を卒業後、フランスのグルノーブル大で構造地質学を専攻した。米国に住むようになって、カンサス州とテキサス州で石油開発会社を経営。現在は、国際政治コメンテーターとして評論活動中。


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