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幻の私家版「石油と金の魔術」
1 名前: 藤原肇 投稿日: 2003/06/09(月) 16:14
「日本が斬られる」にほぼ並行して編集が行われたのが、「石油と金の魔術」と題した生きた経済を扱った対談であり、原稿のほとんどが「週刊ダイアモンド」に掲載され、1980年秋に3回81年春に1回活字になったもので、それを東京新聞出版局が本にすることが直ぐ決定した。詳しい経過についてはこの本の「あとがき」に書いたが、その冒頭にある「この世に生まれ出る前に絞め殺される運命を持つ本が、歴史の中にはよく存在するものだが、本書もそれによく似た星のめぐり合わせをうけ、不幸な形での誕生の瞬間を迎えることになった。私にとっては13番目の息子であるべきこの本は、本来ならば多くの未知の人びととのスムーズな出会いを持つはずであった。ところが、邪悪と怯濡の心を体現した一部の心無い人びとの工作によって、不本意にも、
この本は非売品という鬼子的な誕生形態をとることを余儀なくされたのである」という部分を読むだけで、不幸な物語の大筋が理解できるだろうと思う。嫌がらせによる妨害にあって出版できなくなり、私家版として出すに至った経過は「あとがき」に書いたし、全国都道府県の図書館と六大都市の区立図書館には、寄贈してあるのでそこで読むことが可能である。対談相手は読者だと名乗る東京の若い人で、その人に圧力をかけてねじ伏せる工作をしたのが、この本が出ると困ると考えて妨害した、大蔵省の役人グループであることが分かったから、権力者が読ませないなら読める工夫があると考え、公立の図書館に寄贈する戦術を使ったので、読む意思さえあれば本と出会うことは可能なのである。この本の誕生に関しては改めて書くことにより、1980年代冒頭の状況を記録に残すとしよう。

2 名前: 相良武身 投稿日: 2003/06/10(火) 22:24
相良です。この件については、山岳誌のしおりに載っていたにもかかわらず、
買えなかったことに直面したことは、前に書きましたが、
この件については、なぜ、大蔵省の圧力に載った人間について
藤原さんが、実名を挙げないのかが疑問でなりません。
私自身は、図書館で、しらべ、対談がダイヤモンドであり、
対談の相手が、金について未だ発言を続ける高橋であることが
わかっていますが、何故か実名が出てこない。
もちろん、彼の著作は私は、絶対に立ち読みさえしないことに
しています。

5 名前: 藤原肇 投稿日: 2003/06/19(木) 15:11
この本が東京新聞社から出版にならなかった理由は、「あとがき」に詳しく書いたので繰り返さないが、妨害の中心になったのが大蔵省の中島義雄主計官であり、彼がチンパン人脈と奇妙なコネを持つのを目撃して、驚いたことは「夜明け前の朝日」の第六章に書いてある。その後十数年経って大蔵省の接待スキャンダルで、中島の悪行が露呈して大蔵省を辞めて京セラに拾われたが、なぜ京セラが彼を拾ったかと言う理由も同じ章に、証拠のコピーと共にS資金の話が報告されていて、京セラがM資金に密着した会社であることが、洞察力のある読者には読めるように書いてある。だが、この問題は戦後の日本の政治と経済にとって、きわめて重大な意味を持つ国家機密に属しており、既に何十人もの命が抹殺されていることだけに、私も軽率にその内容に触れるわけに行かないから、誰か有能なジャーナリストが取り組むだろうと期待して、現在においてはペンディングのままになっている。
これだけの悪党が蔵相秘書官や首相秘書官を歴任し、国家の機密を外部に漏らし売国行為をしていたのだから、日本という国はとんでもない傀儡国家だったし、政治家も高級官僚も共に売国奴だったわけで、そういう国ではこの本が薬殺されても当然だろう。面白いことに「週刊・ダイヤモンド」で対談を読んだ読者が、この本が単行本になるのを知って心待ちにしており、大蔵筋の圧力に屈して対談相手の高橋靖夫がゴネて、本が出ないと知って非常に惜しいと連絡してきた。そして、自分は一冊だけ単行本が欲しいと希望するので、費用は負担するから本に出来ないかと提案があった。そこで東明社の吉田さんに相談したところ、紙型が入手できれば本は作れるという返事を貰った。そこで東京新聞社から紙型を手に入れる交渉を行って、確かその人が引き取り費用として100万円を支払い、本は私家版として300部印刷したように記憶する。
このようにして「石油と金の魔術」は何とか誕生したが、最後の余白に「藤原肇の著作目録」を付けて、そこに書評やアッピールの文章を入れることで、未来の読者へのデータベースを残したのであり、「石油と金の魔術」の頁には黒枠の写真と墓碑銘を入れ、「既刊書幻の13号」「未刊書第1号」と記したのだった。

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