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脱藩道場の理念と進路の考察
- 1 名前： 藤原肇 投稿日：
2003/03/17(月) 12:04
- 脱藩道場の春季総会への宿題論文のテーマ
２００３年の春の脱藩道場の総会に向けて、予告してあった宿題のテーマを発表する。
「ジャパン レボリューション」の幻の原題は「日本の回天軸」であり、回天という言葉を選んだ背後に幕末の回天思想があり、これは「夜明け前の朝日」の「あとがき」に登場している、孟子の「湯武放伐」という理念を継承するものである。
間もなく出版になる正慶孝教授との共著の「あとがき」が公開になり、意味論という視点で正慶孝と小室直樹の両雄について論考したが、回天、意味論、レボリューション、人材育成などの言葉をキイワードに使い、滴々斎塾と松下村塾を比較しながら、脱藩道場の今後の在るべき姿と理念について、８００字以上１で２００字以内に論文を纏め、このスレッドに見解を発表することが、当日における入場券に相当するものとする。
これが当日のメインテーマの一つとして、一時間以上の時間を充てて議論する予定であり、宿題として本掲示板には一人一回だけ受け付け、最終締め切りは２００３年３月２８日とする。なお、非参加者あるいはオブザーバーの投稿は、討議の参考資料として歓迎するが、掲示板への投稿は３月２８日より後に願いたい。以上。
- 2 名前： 藤原肇 投稿日：
2003/03/17(月) 12:11
- 誤植の訂正
１）の記事のうち滴々斎塾とあるのは適々斎塾に訂正。
- 3 名前： 藤原肇 投稿日：
2003/03/17(月) 12:19
- 更なる訂正 （乞容赦）
８００字以上で１２００以内が、正しい文字数の枠組み。
- 4 名前： 藤原肇 投稿日：
2003/03/18(火) 09:16
- 自明のことだが、脱藩道場は世界中に住む脱藩志向の人のサイトであり、サイトの統括責任者の亀山さんを始めとして、参加者が「適々斎塾」の理想に近い形で運営し、お互いが切磋琢磨し独立人と活躍する場として、大いに活用するためのものである。だから、私は場と時間を提供することによって、時に応じ論じる楽しみを分かち合う点にあり、それがこの集会の持つメリットであると考える。また、総会に臨むに際しテーマの形で何時も宿題を出し、それを中心に討論する伝統が根付き始めており、今年は表題のようなテーマを選択したが、宿題のヒントとしての「適々斎塾」については、「福翁自伝」を始め幾つかの資料があるので、それを参考にしたら役に立つと思われる。
一般に、宿題の宿命に期限ギリギリに提出という傾向があり、恐らく締め切り間際まではサイトの空白が続くので、少し早すぎるかもしれないと思われるが、投稿に関しての注意を一、二記しておきたい。
締切日と論考の長さについては上記の通りであり、討論用に纏めた原稿のエッセンスだけを抽出し、具体的な理論の展開は当日の議論で行うものとする。また、掲示板に発表する簡明な論考と結論は、自分独自の見解に基づくオリジナリティを必要とし、掲示が遅れれば独創性は希釈されるが、発表に使う氏名は実名でもペンネームでも構わない。ただし、ペンネームの場合は脱藩道場に登録して、亀山代表の了承を得ておくことが必要であり、それが無用なトラブルを回避する道だと思われる。前回も強調したように、論考は新聞や雑誌に活字化されると想定して、全体像を捉え簡潔で筋道が明晰であることが重要。
その他の具体的な施行ルールに関しては、亀山さんの判断に従うので連絡を取り合って、皆さんが最良と考える方式を創設して欲しい。
皆さん、多いに頑張って画期的な意見を創生して、実り多いミーティングにしようではありませんか。藤原
- 5 名前： 尾崎清之輔 投稿日：
2003/03/23(日) 02:41
- ２１世紀がスタートして２年が経過したが、この２１世紀の社会を輝かしいものとするためには、
どのようなビジョンを持ち、構築して具現化していくかについては未だ混迷の状況にある。
現在の位相の変化を意味論として考えると、西洋においてはレボリューションという言葉がある。
レボリューションを日本語で表すと、一般的には「革命」が当てはめられることが多いが、
天文における公転、メカニカルな回転、旋回、季節の循環など、本来の意味からは周期的な
要素を持つ言葉である。これは西洋思想における「revolution」がラテン語の「revolvo」に由来
しており、「revolvo」は「再帰」「再考」等の意味を持っているからである。
また、中国では昼夜で陽の当たるところが変化するという意味で「光復」という言葉が存在する。
日本においての「革命」は、現在では狭義の範囲で表される傾向が強くなってしまったことから、
該当する言葉を探すことは容易ではないが、かつて幕末には回天思想が存在しており、この
「回天」という言葉が最も近い意味として当てはめられる。更に、この「回天」を明確に炙り出す
ためには、幕末の回天思想を支えた松下村塾と適々斎塾を比較することが肝要である。
吉田松陰が主宰した松下村塾は、日々の時事を主題に扱って授業を進めてきたことから、
門下生の多くが明治維新・政府の中心人物として活躍したことに見られるように、その内容に
国民（民族）・国家の枠組みを如何にするべきかといった思想を垣間見ることが出来る。
また、「湯武放伐論」の解釈においての松陰の諫言に見られるように、これらの枠組み又は
システムの一部を所与として考えたことも見逃せない。
緒方洪庵が主宰した適々斎塾は、由来が「己の心に適するところを適として楽しむ」ことから、
塾生の自主性や自立性を重んじており、洪庵自身も一塾生という立場であったと考えられる。
つまり、個々人の自覚に基づき、判断も責任も自らに由るということである。これはその後の
門下生の生き方が多種多彩であったことからも明確である。尚、門下生の一人、長与専斎は、
内務省の初代衛生局長として16年間辣腕を奮ったが、その彼に才能を見出されたのは、
あの後藤新平だったことは必見である。また、洪庵が蘭方医であったことから、人体という
小宇宙を通じて「理」を説いたことは想像に難くない。
これらのことから、「回天」には、国民・国家という枠組みを分析・把握して、その在るべき姿を
打ち出すという次元と、自らの足で立つことから必要とあらばそれらの枠組みさえも
乗り越えてしまうという次元があると考えるが、世界そして地球という共通プラットフォームを
持つ我々は、人類を含めた全ての存在がより良く生きていくことが出来るように、
適々斎塾の理念を学ぶことで、道場生がお互いに自立型、自律型の人間として、高い相を
目指して修行する人材育成の場を作り出していくことが最も重要ではないであろうか。
- 6 名前： 板村幸彦
投稿日： 2003/03/23(日) 10:19
- 脱藩道場の理念と進路の考察
人材育成の面から見た適塾と松下村塾の相違は、学風、指導者の個性の相違等色々あるが、塾のおかれ場所的地理的相違から来る環境の影響も忘れる事が出来ない。孟母三遷の故事もあることから、その点から意見を述べて見たい。
適塾のあった場所が、当時の経済の中心地大阪であったこと、それも米市場のあった堂島や大阪金相場会所からも比較的近い場所であり、当時の日本の経済と情報の中心地に位置していたことの影響は重要と思われる。適塾のバンカラぶりや実力主義も、商人の町大阪と無縁とは思えない。
それに対して松下村塾は、長州藩の城下町とはいえ地方都市にすぎない場所にあったことが大きな違いである。ただここで重要な事は当時の長州が外様の藩とはいえ、経済上重要な都市である下関を抱えていたことは見逃すべきではない。ここは北前航路の中継地であり、江戸、大阪と並ぶ米市場もあった商業都市であった。厳密には下関は支藩である長府藩領であるが、長州藩も役所を置き関係が深かった。朝鮮通信使も長州の下関、室積、上関を経由したし、オランダ、中国等の情報もそれらの地域を経由して、大阪、江戸へといった事を考えると当時の国内外の情報の中心地に比較的近かったと考えられる。それらが当時の松下村塾の塾生に影響を与えた事は充分考えられる。
従って松下村塾の塾生も他藩の人間より、経済情報等国内外の情報に熟知していたであろうし、そういう環境の下維新の原動力となる人材育成がされたと思われる。
この二つの塾生を比較したとき、情報の中心地から距離のあった松下村塾の塾生方が、行動する人であったから維新に与えた直接的影響は強い。
この事から「脱藩道場の理念と進路」を考えるにも、情報の中心地との位置が、回転に対する姿勢に影響を及ぼすのではないか。
私としては情報の中心地と距離を取ったほうが、むしろ実際の行動に繋がるのではないか、回転へ導く理念と行動も生まれるのではないかと思う。
板村幸彦
- 7 名前： 布施晃 投稿日：
2003/03/23(日) 23:41
- だいぶ昔に読んだ本で覚えてるが、ある弓の名人、当たってから
弓を引きますの言があり。
所謂幕末維新も同様、回天の弓を引いた者がいるはず。この点、
どうも維新史は肝心の主役を欠いている気がします。
最近の異色本、故鹿島��氏の明治研究も田布施まで追い込んだのに
今一歩か。尊王攘夷なる言葉も春秋左氏傳が出典とか、回天も中国原典
でしょうが、天のどこかに弓を放ったものがいると考えるべきでさもなくば
支那式虚勢の言にまどわされかねない。天は見えざる所、ここにどこまで
入り込めるか。問われると思います。
如何。
- 8 名前： 西條謙太郎 投稿日：
2003/03/24(月) 00:37
「脱藩道場」とは、「社会の名医」である藤原さんの思想に共鳴するメンバーが、
ＨＰやＭＬ・掲示板を活用し、かつ定期的に藤原さんを囲んで集うことで、独立
独歩の有為の人材たるべく自らを鍛錬する場所である。
「脱藩道場」の名は、藤原さんの著書「日本脱藩のすすめ」に由来するが、「脱
藩」の２字は、慣れ親しんだ環境を離れ、異文化体験と武者修行を通じて、故郷
の思想・習慣を異郷のそれと比較し、差異を把握し背景を考える力を養い、従前
の自分自身を相対化し乗り越え、さらに、その過程で、普遍性や理に目覚め、理
をよりどころに考え行動する人間として生まれ変わるという理念を示している。
また、「道場」の２字には、メンバーが実力本位で切磋琢磨するよう、そして、
そこでの鍛錬が文明進歩のための人材育成につながるようにとの願いが込めら
れている。
上述の理念を踏まえて、脱藩道場の今後の展開の範を、江戸期の私塾に求め
て「適適斎塾」と「松下村塾」を比較してみると、その運営方法と輩出した人材
に大きな違いがあることに気づく。
すなわち、緒方洪庵の「適塾」では、１クラス１０名前後の能力別８クラス編成
で、講読・討論などをもとに毎月評価を点数化し、３ヶ月主席を続けると上級ク
ラスへ進級できるルールで実力重視の教育が行われていた。そして、最上級の
塾生だけが、洪庵が直接主宰する会読に出席でき、その他は上級の塾生が指導
する仕組みにより、「福翁自伝」にあるように塾生は寝る間もなく勉学に励ん
だようだ。
一方、吉田松陰は「松下村塾」において、下級藩士や庶民を多く含む塾生に、
身分・能力の区別なく接し、各人の長所を引き出しながら、世界地図を背景に
して講義や会読を行い、子弟協同の農作業や塾の増築、山登りや水泳、酒を飲
みながらの議論をするなど全人教育をおこなっている。
この両塾の違いを、法統の伝承と人材育成の結果という面から見ると、洪庵
については、中
天游から受け継いだ合理主義の精神を、適塾を通じて、福沢
諭吉や大村益次郎らに立派に受け渡したといえよう。
しかし、佐久間象山に学んだ松蔭は、象山から受け継いだはずの合理主義精神
や政治的インテリジェンス能力の法統については、レベルがまちまちの塾生が
一同に集う全人的政治思想塾ともいうべき松下村塾を通じて、門下生に充分伝
えることはできなかったようだ。それは、松門の伊藤博文・井上馨・山県有朋
等の明治の元勲のボンサンスのレベルに明らかと思う。
さて、最近日本で政治思想関係のＨＰが増えているようだが、村の青年団的
な雰囲気を漂わせるものが目立つように見受ける。 脱藩道場については、こ
れを他山の石とし、上述の理念及び「適塾」と「松下村塾」の対比を踏まえ、
今後は「適塾」のような、参加者のレベルに応じた階層別グルーピング制度
を取り入れ、参加者の切磋琢磨を促す方式にいっそうの工夫をするべきである
と提言するものである。
- 9 名前： 藤原肇 投稿日：
2003/03/27(木) 18:09
- 東京に来ています。締め切り日の時点で原稿をプリントアウトして会の時に持ってきてみんなに配って頂けたらと思います。それをテキストに議論いたします。
- 10 名前： 明石 悠三 投稿日：
2003/03/27(木) 23:32
- 私が考える脱藩道場の進展と理念のキーワードは抽象的には組織（Organiｚａｔｉ
ｏｎ）で全体を捉え、実践していくことであると思われる。組織は語感としては何だ
か日本語の集団主義的なイメージと結びつきがちだけれど、この場合、特に特殊化の
領域の中で限定されない。多層構造によって成り立つ自然界をバックグランドに比喩
的だがあらゆる存在が生命力をもって秩序を形成していると考え、次元の異なる様々
な存在形式の相互連関を多元的に体系づけていくというのが、私の描く全体像です。
そのように考えると例えば、人体としての個人もまたひとつの組織であり、その下
位次元に
は多くの内臓や筋肉といった組織があることは、それぞれの役割は異なってもそこ
には相互に関係し合う情報ネットワークの体系が存在しているからでありましょう。
私はこのイメージを個人と社会において捉え直してみるとマクロ的には環境・条件
など場に
おけるそれぞれの文脈の差異を念頭にして成り立っている個人、企業、国民国家と
いった組織らが浮かび上がる。要は個々の組織としての実存のスキームを
大まかに捉え、それらの生成過程を構造化している情報の属性
に目を向ける。あとはいろいろな試行錯誤を繰り返しながら、リンクしあう情報の価
値をコーディネイトしていく作業というのが進展のポイントであろうか。
次に理念だが脱藩とはそもそも、己を乗り越えると言う意味であり、精神の束縛を
解き放つという強いメッセージが込められている。具体的にはあるゆる組織体（個
人、企業、国民国家）の実存自らの部分化を試みて外部環境との現実乖離に適応する
ためのシステムの再審を行い、見えない全体の秩序との調和を構築していくことが理
想であると思います。脱藩道場はそれらの関連性で捉えて少しでも活動できれば素晴
らしい。
それを敵塾と松下村塾との比較で考えると、前者が蘭医学を初めとしたサイエンス
を重視して社会から少し距離を取っていたような印象がありますがその分、理を軸に
した普遍性の視座を持つ教育を行っていたように感じられます。
それに対して、後者の方は何か政治色が強く観念的であり時代の狂乱のうねりの中
ではエネルギーを生み出す推進力になったが、どこかメタによる全体思考をするよう
な達観や観照を楽しむ心の余裕のようなものがなさそうである。部分をもって全体への画一化をはかる断片思考は結局自らの存在意義
を政治次元に収斂する形で後の伊藤博文、山県有朋らに継承され日本の
近代国民国家が建設されていったのではないでしょうか。
断片と全体との連関で捉えることができなくなれば、行き着く先は二つ。一つはタ
コツボとしての閉じた情報系としての衰退、もう一つはその表裏一体としての定向進
化による破綻。それは幕末の鎖国体制から大日本帝国破滅への道のり。
- 11 名前： 小暮 投稿日：
2003/03/28(金) 04:33
- 脱藩道場には始めて参加します小暮です。どうぞよろしくお願いします。
吉田松陰は牢屋の中でも、囚人相手に真剣に講義をしたと聞く。福沢諭吉の自伝を読むと、勉強内容そのものよりも、その場の熱気のようなものが伝わってくる。「謦咳に触れる」というが、優れた人の呼吸を傍で直に感じることが、人材育成において何よりも必要なこと思われる。知識の習得だけならば、一人で出来るが、そこから先にすすまない。優れたもの同士が、互いに切磋琢磨することが重要である。私塾で育ったものたちが、江戸、明治と時代を乗り越えて、活躍した。時代の閉塞感を乗り越える人材は、既成の大組織からは生まれない。
最近では、工業製品から、食べ物にいたるまで、少品種大量生産の時代から、多品種少量生産の時代に変わってきた、ということを耳にすることが多い。個人の好みが多様化していきたとよく言われる。それを人材に置き換えて考えるなら、みんな一緒で、画一的な人材ではもう間に合わないということになる。多品種というとは、自分の気に入らないものが含まれていることも多いはずだ。しかし、それを排除するのではなく、異質なものに対して寛容であることが、必要となってくるのではないか。多少、おかしな意見であっても、それを個人の好悪の感情で、判断することなく、相手の意見のなかにも重要性を見つけ出す必要があると思われる。異質なものに対して、寛容であること。時代の枠をはみ出したものに対しても排除したりしない、鷹揚さも必要ではないか。相手の異質さが、たんなる異常なのかどうかを見極める、判断力も必要とされるだろう。
既成の枠組みを乗り越えて活躍する人材の需要はましていくだろう。「脱藩」という、キーワードは、閉塞感に包まれている、現在の日本でこそ、現実味を帯びた言葉として響く。単に集団で暴動を起こすだけでは鬱憤ばらしで終わってしまう。志を高くもつ、人間が自発的に集い、優れた個人同士のつながりを大切にすることが、重要な意味をもっていくのではないか。
- 12 名前： 海原波彦 投稿日：
2003/03/28(金) 06:34
- 日本の回天軸は「個」にあり
明治の啓蒙思想家・福沢諭吉による『学問のすすめ』は、いわずもがな明治の大ベ
ストセラーにして、今なお読み継がれる古典的名著だが、現在紐解いてみてもその主
張の新鮮さに目を見開かされる思いがする。
福沢は「一身独立して一国独立す」、つまり個人が自立することによって国家が独
立でき、はじめて社会は良くなると所論を展開する。また、これを大ベストセラーと
して受け入れた明治人の問題意識の高さ、知性にも大きな敬意を感じる。
ただし反面、現在の日本の状況の中でこの本を読むにつけ、非常に残念な思いがす
るのも事実だ。
福沢の指摘し、厳しく批判する日本人の依存体質が、維新後百数十年を経た今も、
まったくといっていいほど変わっていないと思うからだ。いや、むしろ「個人の権利」
として、利を追うことを覚えた分だけ、より浅ましい国民に成り下がってしまったと
いえないだろうか？
古典は古びない、とはいうものの、この進歩の無さ、福沢の主張を今もって新鮮に
感じてしまうという皮肉を悲しまざるをえない。
現在、「不景気だ」「デフレだ」「年金がもらえない」「世界情勢がおかしくなっ
ている」と、日本中が不安感に覆われている。しかし嘆いているものの、多くはどこ
か他人事だ。「政府が○○してくれない」「世の中が○○だから」という声が大半で
はないだろうか？ 「私はこう考える」「オレはこう動く」と自分でゲーム的（もち
ろん、あくまで真剣な）に考え、リスクを取って行動する人が非常に少ないように思
うのだ。
今の日本は結構恵まれている。不況のなんのと言いつつも、とりあえず基本的な衣
食住に困ることはない。科学技術だってあるし、お金も豊富に持っている。しかし、
「個」が自由に動かないから、全体としてなにも動かない。
「政府が‥‥」「社会が‥‥」「みんなが‥‥」という、徳川時代を経て大正、昭
和、戦後と脈々とまとわりついてきた自縛の縄を、ほどいたり断ち切る作業が必要だ。
ただし、だれかが、ではなくて、あくまで自分が。
その意味で、志のある個が集まり、サロン形式でインテリジェンスの真剣勝負を行
う脱藩道場は貴重な場だ。
経歴、年齢、所属など一切関係なし。一人の個として、自分の知性のみを頼りにめ
いめい所論を展開し、切磋琢磨する。この場では、とかく、子どもの頃から学歴や受
験という官製ヒエラルキーに押し込められてきた知性が解き放たれ、野性味を取り戻
す思いがする。
矛盾と言われるのを恐れずに言えば、この知性の野性はとても大切だと思う。それ
は自在に考え、行動するための頼みとなるものだからだ。
日本人の財力、技術力、緻密さ、協調性が、野性的な知性と結びついたらどんなこ
とが起こるだろう？
景気回復なんてちっぽけな話しでは収まらない。世界の貧困、残虐、狂気への、一
大挑戦勢力が出現するはずである。
- 13 名前： 亀山信夫 投稿日：
2003/03/28(金) 07:02
- ３月３０日の脱藩道場総会に参加予定の「出席者」資格の皆様
３０日に参加を予定されている大勢の「出席者」の皆様の貴重な投稿、有り難うございました。
未だ宿題を未提出の参加予定の皆様、宿題の〆切は、本日３月２８日一杯です。（日本時間）それ以降の投稿は、たとえ参加を申し込んできたメンバーの投稿であっても、当日の叩き台に使用するプリントの対象となりませんのでご注意願います。
以上
ホームページ【宇宙巡礼】管理人・亀山信夫
- 14 名前： 津和野貴志 投稿日：
2003/03/28(金) 08:16
- 松門の中でも比較的高い家柄の出身であった高杉晋作は、親と世間に隠れながら松陰のもとに通ったらしい。晋作の父は、血気盛んな晋作が酒を飲み遊女と戯れるのは許せても、当時の幕府にたてつく思想や人間たちとの関わりは断じて許さず、晋作に勘当を迫った。下級の身分に生まれ、激動の時代において得るものはあっても失うものはなかった多くの同輩たちが東奔西走する姿に、ある時期までの晋作は悩み、苦悩する。
現在の自分を高杉晋作に比べるのはおこがましい限りではあるが、私には、晋作の気持ちが痛いほどわかる気がするのである。師の松蔭が、獄中から子弟達の意気地のなさに悲憤慷慨して檄を飛ばし、弟子達がその手紙を読み、あるものは回天への意思と決意を新たにし、あるものは自分のおかれた境遇との落差に悩み、苦しんだであろうことは、容易に想像がつく。年に２回の来日と、脱藩道場に寄せる藤原博士のメッセージは、まさしくこれにあたるのではないか。最近の私は、藤原博士と電話で会話することすら、正直冷や汗ものであるが、私にとっての脱藩道場はまさしく精神の脱藩を問いかけ続ける存在であり続けるだろう。
齢重ねられめっきり白髪の増えた博士が、４０近い出版社から出版を断られた末に本を出したり、最近経営が立ち行かなくなった出版社を応援する姿の背後に、松蔭が「留魂録」に込めた想いに通ずるものを感じたが、このことに今になってようやく気づいた自分の不明さが、正直恥ずかしい。
陽気な山男の気質を持つ藤原博士だが、フランス留学時代、グルノーブルでフランス語による博士論文を書いた時のことを振り返る博士は、あのような経験は二度とごめんだ、とコメントしている。かつての自分も、異国の地において学校に放り込まれ、右も左もわからぬ状態でひたすら勉学に打ち込んだ経験を持つ。テストの時間中、静まりかえる教室の中に、薄紙の辞書をぺらぺらとめくる音が絶え間なく続いたことから、クラスの仲間は私にMr.
dictionaryという綽名をつけた。大学では、朝から薄暗い図書館にこもり、ひたすら原書と格闘した。福沢諭吉は「福翁自伝」の中で適塾での塾生の生活に触れているが、立身出世や将来の安泰などとは無縁な塾生達が原書と日々格闘し、月に６回ほど開かれる会読の結果ランク付されていく姿には、時代を超えて鬼気迫るものがある。しかし、現代の日本人が経験する受験地獄と違い、適塾の生活には真剣さと真摯な姿勢の根底に、どこか愉快な雰囲気が漂うところがうらやましい。
今後の脱藩道場については、引き続き、藤原博士の著作や記事をテキストに担当分野を決め、会読の際にメンバーが責任を持つ、という適塾スタイルのアプローチが良いと思う。ただし、オフ会をもっと開催すべきではないか。理と情のバランス、という観点からは、道場開催後酒を酌み交わす機会が増えても良いのでは、とも思う。
- 15 名前： 野田隼人 投稿日：
2003/03/28(金) 12:58
- 脱藩道場とは、在米の藤原肇博士の一連の著作に偶然出逢い、次第に藤原思想に惹かれていった人たちが集うアゴラ（広場）である。また、脱藩道場が開設しているホームページ【宇宙巡礼】は、日本語のサイトであることから明らかなように、日本人が中心のアゴラでもある。今後は、日本人だけに限定することなく、世界中の脱藩人も集うアゴラに成長していって欲しい。そのためには、他言語、特に英語のページを増やしていくことが肝心ではなかろうか。
さて、現在の脱藩道場は日本人が中心であることから、己れを生み、育んでくれた日本の将来に一抹の不安をおぼえる道場メンバーが多いと思う。その日本は、１〜２年のうちに国家財政破綻を迎え、場合によっては戦後体験したようなスーパーインフレに見舞われる可能性が高い。さらに、１０〜２０年後を経れば、少子化が一層進み、日本のみならず、先進諸国は本格的な高齢化社会を迎えることになる。その頃は、第３の大革命、すなわち情報大革命の真っ只中に居ることに漸く気づく時期にもなりそうだ。また、世界の現実を振り返るに、環境・エネルギー問題、開発途上国における人口増加問題と食糧危機、戦争等、人類の滅亡に繋がりかねない問題が山積みになっていることにも気づかざるを得ない。こうした状況下、脱藩道場に課せられたミッションあるいは天命とは何だろうか。
ここで歴史に目を転じてみるに、松下村塾と敵塾という２つの塾の存在に気づく。両塾の違いについて誤解を恐れずに敢えて言えば、松下村塾は�犲続忰瓩鮓修掘∪�界・財界というハードウェアに貢献した人材を数多く輩出した。一方、敵塾は無用の学、すなわち�狹�学�瓩鮓修掘∋彖朿Δ箸いΕ愁侫肇ΕД△帽弩イ靴真雄爐鮨�多く輩出したと云えよう。
１０年以上続いている平成大不況のお陰で（？）、サラリーマンとしてのこのまま生活を続けていくことの限界に目覚め、リストラされる前に自ら会社を飛び出し、ベンチャー、ＳＯＨＯといった独立開業の世界に飛び込む人たちが増えてきた。私も独立開業した１人であり、近く仲間と新事業を興す予定だ。ただ、事業を興そうとする人たちは、一人あるいはグループで事業を興そうとする人たちだけに、一般に�犲続忰瓩量未任和臺冤イ譴討い襪發里痢∋椎阿覆�ら�狹�学�瓩僚斗彑�に気づいている者は希である。だからこそ、情報大革命が本格化しつつあり、一層低迷していく世の中にあって、�狹�学�瓩梁臉擇気鯏措�してくれる脱藩道場の存在が如何に貴重なものであるかが分かるのではなかろうか。この上は、脱藩道場メンバーの英知を集め、日本、さらには世界に�狹�学�瓩梁臉擇気鯏舛─�貢献していける脱藩道場にしていきたいものである。これこそが、脱藩道場に課せられたミッションあるいは天命ではないのだろうか。
- 16 名前： 野田隼人 投稿日：
2003/03/28(金) 13:14
- 訂正
「敵塾」はタイプミスです。適塾に訂正します。
野田拝
- 18 名前： 藤原肇 投稿日：
2003/03/29(土) 17:43
- 明日の脱藩道場のゼミは各人が４分の持ち時間で発表し、それに対しての討論を２分か３分やり、全員が発表と討論を終わった段階で、次に評定をしてゼミをまとめたいと思います。もし、異なるやり方を提案する人があったら、その点についての忌憚の内発言をして下さい。
会場に新刊の「ジャパン レボリューション」を持っていきますので、見本分のために各人一冊分づつしかありませんが、楽しみにしていてください。藤原
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