★近代日本とフルベッキ - 藤原　肇の宇宙巡礼　掲示板　

1 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/07/14(水) 15:44: 某国際契約コンサルティング会社の機関誌に、「近代日本とフルベッキ」と題した新連載をスタートしましたのでお知らせ致します。
http://www.ibd-net.co.jp/kaientai/index.html
（※注意：『世界の海援隊』で公開されるのは、「近代日本とフルベッキ」の最新号のみです）

尚、フルベッキを取り囲んだ〝謎の写真〟も含め、【近代日本とフルベッキ】と題した新ホームページを立ち上げました。〝謎の写真〟に写っているのはフルベッキ親子だけではなく、西郷隆盛、明治天皇、大村益次郎、勝海舟、坂本龍馬らも写っていると噂されています。換言すれば、新連載「近代日本とフルベッキ」は、〝謎の写真〟の真偽を探る旅でもあるのです。
http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/ibd/

野田隼人拝
2 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/07/14(水) 17:03: 阿修羅にも、写真入りで投稿しました。
http://www.asyura2.com/0406/bd36/msg/340.html
3 名前： 飯倉光 投稿日： 2004/07/18(日) 13:48: ２年程前に中丸薫さんという明治天皇の孫という方がこれと同じ写真を掲載した
本を出版してました。中丸さんは鹿島曻説にも賛同しているようでしたね。
イラク、アフガニスタンもそうでしたが、旧体制を壊すよう煽動して利を得ようという
外国勢力の布陣、図式と同じかたちが幕末の日本にもあったと考えておられるようです。
4 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/07/18(日) 14:25: ＩＢＤの機関誌『世界の海援隊』最新号にも書きました通り、たまいらぼ出版の玉井禮一郎社長と、今年の５月に秩父の麓の蕎麦屋で美味しい蕎麦を食べながら、謎の写真について語り合ったのですが、たまいらぼ出版の社長・玉井さんの場合も所有している謎の写真の出所は中丸薫の本であると言っていました。

明治天皇についてですが、現在アップされている「近代日本とフルベッキ」にも書いてあるように、謎の写真には〝明治天皇〟も写っているとされています。しかし、果たして本物の大室（寅之祐）かどうか意見の分かれるところですので、慎重に筆を進めたいと思います。

実は、明治天皇についても私は蕎麦屋で玉井さんと語り合っています。鹿島昇さん亡き後、〝鹿島学〟の跡を継いだ松重楊江と玉井さんは、以前一緒に大室家縁の里に行っています。ここでの玉井社長の松重楊江氏に対する評価はオフレコにさせていただくとして、玉井社長も明治天皇に関する鹿島説を肯定されておりましたし、私も同様に鹿島説についてほぼ間違いないと思っております。そのあたりを絡め、「近代日本とフルベッキ」を執筆していくつもりでいます。

最後に、たまいらぼ出版のホームページのコンテンツ［玉井禮一郎の横顔］を一度じっくり眺めると、明治天皇に絡む面白い発見をすると思います。
5 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/08/17(火) 17:41: 「近代日本とフルベッキ」の第一章・フルベッキ　其の一を公開しましたのでお知らせ致します。
http://www.ibd-net.co.jp/kaientai/index.html
6 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/09/10(金) 13:52: 「近代日本とフルベッキ」の第一章・フルベッキ　其の二を公開しましたのでお知らせ致します。
http://www.ibd-net.co.jp/kaientai/index.html
7 名前： 読者です 投稿日： 2004/09/10(金) 22:50: 上記のアドレスでは其の１が読めないようですね。会員ではないので、バックナンバー
も通覧できませんし、ちょっと残念です。ご配慮願います。
8 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/09/11(土) 05:43: 最初に、拙稿をお読み頂き感謝致します。

さて、ご指摘の拙稿「近代日本とフルベッキ」は、国際契約専門のコンサルティング会社ＩＢＤという会社の機関誌・『世界の海援隊』に毎月アップしているものです。同社は、近未来に本格的に開花するであろう情報革命を睨み、同社が四半世紀近くかけて蓄積してきた国際契約のノウハウの電子化（データベース化）を今日に至るまで精力的に進めてきました。私も同社の事業計画の一環をお手伝いする意味で同社と契約を交わしており、一人でも大勢の人たちに国際契約に関心を持っていただき、さらには会員になっていただこうというキャンペーンのお手伝いをしております。そうした会員獲得の一環として始めたのが『世界の海援隊』の「近代日本とフルベッキ」です。一年前に開始した「日本脱藩のすすめ」シリーズ、今年の６月から開始した「近代日本とフルベッキ」も、現役の国際ビジネスマンに何等かの形で役に立つ読み物をと考え開始したものでした。しかし、最近は国際ビジネス関係者以外の様々な分野の人たちにも読んで頂いているようです。数日前は、坂本竜馬の肉筆の手紙の鑑定を仕事の一部とする方からもメールもありました。

次回、東京の麹町にあるＩＢＤに訪れた折りに、同社の石上社長に読者の声をお伝えし、どのようにするか話し合ってきますので、しばらくお時間をいただければと思います。

なお、以下はＩＢＤのホームページに掲載中の呼びかけです。ご参考まで。
http://www.ibd-net.co.jp/

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今、地球上では、良いビジネス・モデルを作り上げ、それを適切な契約書で管理できる企業が勝ち残っています。

米国企業は自己中心の独善的な考えを主張してきます。ドイツ企業は細部まで行き渡った緻密な条件を持ち出してきます。フランス企業は官僚的な手法で交渉をしてきます。ロシア企業は大雑把ですが強引な提案をしてきます。中国企業は高度なテクニックで粘り強い交渉をしてきます。開発途上国企業のリーダー達はオックスフォード大やハーバード大で学んだ智略を駆使してきます。

さて貴社はどういう戦略で臨みますか！

私達は、皆様から「ＩＢＤの情報で得した」と言われることを願っています。
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9 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/09/28(火) 19:39: 来月の中旬にＩＢＤの『世界の海援隊』にアップ予定の『近代日本とフルベッキ』・第二章　坂本龍馬を書き終えたところですが、その中でマリアス・ジャンセンの著した『坂本龍馬と明治維新』を取り上げ、以下のように同書を紹介してます。

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１．龍馬に関する最良の書・『坂本龍馬と明治維新』
　本シリーズの連載を開始するきっかけとなった『ニューリーダー』誌の対談記事、「近代日本の基盤としてのフルベッキ山脈」が『賢者のネジ』に収録され、６月３０日に発行されてから早四ヶ月が経った。偶然にも、出版元のたまいらぼ出版の玉井禮一郎社長と知己の間柄であったことから、同書の編集の一部を手伝う形になったのであるが、そのお陰で本の企画から出版に至るまでの一連の流れの大凡を知ることが出来たのは貴重な体験であった。結局、たまいらぼ出版には月に２回程度のペースで編集のお手伝いに行ったことになるが、そうした編集作業の合間に玉井社長との何気ない雑談もあり、今から思うに大変有意義な雑談であった。そんなある日、たまたま坂本龍馬のことが話題になり、「幕末から明治を描いたもので、一番優れた本は何だと思う？」と玉井社長が尋ねてきたので、即座に「『坂本龍馬と明治維新』（マリアス・ジャンセン　時事通信社刊）だと思います」と筆者は答えている。『坂本龍馬と明治維新』には未だ一度しか目を通していないが、龍馬の手紙を活用して見事に龍馬像を描き出しており、同書が高い評価を得ている理由がよく分かったものである。果して、『賢者のネジ』の「近代に日本の基盤としてのフルベッキ山脈」でも以下のように『坂本龍馬と明治維新』を高く評価していた。

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藤原肇：徳富蘇峰は変節漢だけでなくインチキ男です。権力に懐柔されて御用言論人になってしまい、政府のプロパガンダの旗振り役でした。だから、弟の徳富蘆花からも変節を理由に義絶されており、行き着いたところはファシストの権化でした。三宅雪嶺が歴史の資料に手紙を活用したように、マリアス・ジャンセンも『坂本龍馬と明治維新』（時事通信社刊）の中で、手紙を使って心理分析と状況判断をしており、幕末から明治維新にかけての時期を描いたものでは最高です。続いて大仏次郎の『天皇の世紀』（朝日新聞社刊）があり、その次には奈良本辰也が書いた各種の歴史評論がある。その後に、萩原延寿の『遠い崖』（朝日新聞社刊）や村松剛の『醒めた炎』（中央公論社刊）になる。しかし、小説は１０位以下というのが私の判定です。
小島直記：小説はフィクションとして読者に迎合するから、どうしても面白くしなければならないので無理がある。あれだけ国民に人気のある司馬遼太郎でも、かなり嘘を書いているのに、読者はそれに気がつかないで、小説を歴史と取り違えている。小説を書くときの悩みはそれをどう克服するかであり、そこに小説や文学の限界を感じた。そのために、私は同じ小説でも伝記を書くことに人生の路線を改めました。そして、人間を描くことを通じて彼が生きた時代に迫り、歴史の空白部を埋めることができないかと思って、これまでなんとか仕事を続けてきたが、雪嶺の『同時代史』を読んだ時には衝撃を受けました。
『賢者のネジ』（藤原肇ほか　たまいらぼ出版）P.142
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10 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/09/28(火) 19:39: 昨日、副島隆彦氏のＨＰを訪問し、「気軽にではなく重たい気持ちで書く掲示板」という名の掲示板に副島氏本人が投稿しており、偶然にも『坂本龍馬と明治維新』を評価していた箇所に目に留まりましたので、その一部を以下に引用します。

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[3856]私の考え投稿者：副島隆彦投稿日：2004/09/25(Sat) 07:00:39

監督をした、エドワード・ズーウィックという人は、プリントン大のマリウス・ジャンセンという、ライシャワー系統の日本学者（日本あやつり人間の系譜）の弟子だ。Ｍ．ジャンセンは、『坂本龍馬と明治維新』という本を、１９６１年に書いて、１９６４年に翻訳されている。
この本は、平尾道雄（ひらおみちお）という高知新聞の人が、（この人は『海援隊始末記』（中央公論社　１９７６年刊）と書いたのだが、）翻訳をしている。ジャンセンの本が、ひどい謀略本であって、それを下書きにして、司馬遼太郎が、後世ばれないと思って、『竜馬が行く』を書いた。

本当は、坂崎紫潤（ジュン？）という明治の人が、『坂本龍馬　海援隊始末記』という本を書いていて、それをいろいろに改作したのが、上記の人たちだ。
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ここで、藤原ブッククラスタであれば、上記の副島氏の投稿を読みながら、ニヤリとしながら『理は利よりも強し』の第五章・「アメリカの対日強硬派の虚実」を思い出したのではありませんか？

幸い、『理は利よりも強し』の第五章は過去の脱藩道場総会のテキストとして採用され、以下のＵＲＬに全文が載っていました。
http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/fujiwara/sokai/02s/ri05.htm

むろん、ジャンセンの親分であるライシャワーも取り上げていますので、この機会に一読の上、皆様のご意見をお聞かせいただければ幸いです。第五章を読めば分かりますが、副島氏が日頃持ち上げているチャルマーズも形無しです。また、第五章には丸山真男についての記述もあり、副島氏の著した『日本の秘密』にある「付　章　丸山真男の死」と好対照をなしていますのでご注目ください。

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　専門分野や特殊領域には別の指標を使うが、日本の政治や戦略への関心を測るためには、丸山真男の「戦中と戦後の間」（みすず書房）、小室直樹「危機の構造」（ダイヤモンド社）、永井陽之助の「現代と戦略」（文芸春秋）の三冊をもっぱら利用している。
　これらの本は日本語版しかない名著であり、日本の政治を知る上で必要文献に属す。だから、その図書館が何冊これら本を保有してどれだけ借り出されたかを調べ、そこの大学の頭脳水準を測る目安としている。
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追伸
蛇足ながら、たまいらぼ出版の出した『「日米対決」と石原莞爾』という本の原作者・マーク・Ｒ・ピーティはジャンセンの弟子であり、ライシャワーの孫弟子に相当します。ジャンセンが何故ピーティ氏に石原莞爾を書くように勧めたのか、上記の謎解きと併せて今度の週末にでも思索を巡らせてみると面白いと思います。
11 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/10/12(火) 16:14: 「近代日本とフルベッキ」の第二章・坂本龍馬を公開しましたのでお知らせ致します。
http://www.ibd-net.co.jp/kaientai/index.html
12 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/11/09(火) 12:22: 「近代日本とフルベッキ」の第三章・横井小楠を公開しましたのでお知らせ致します。
http://www.ibd-net.co.jp/kaientai/index.html
13 名前： 村田信三 投稿日： 2004/11/17(水) 20:39: フルベッキを取り囲んだ〝謎の写真〟とのことですが、最近読んだ本には
この写真が大隈記念館提供とあり、出ていました。
著者は新井信介という方で元商社マン、京都市長選にも出馬されたりしてますが、
ホームページでも連日書いておられますが、なかなか異色。得がたい人物です。
本の題名は「新東方主義」（９２年新人物往来社刊）、７６ページから引用します。
「皆さん、ここに大変興味深い写真があります。真ん中に一人の外人がいますが、
彼はギド・ヘルマン・フルベッキというキリスト教オランダ改革教会の宣教師で、
安政六年、（１８５９年）に長崎にやってきました。この写真は維新前に撮った
写真で、勤皇と左幕の青年たちがなかよくフルベッキを中心に写っています。
宣教師という名の尖兵をまず送り込み、キリスト教の宣教に反対があると、
キリスト教迫害と貿易拒否という口実で武力介入するというのが彼らの常套手段
です。（中略）この写真は、外国勢力の手法を見事に炙り出した第一級の証拠物件
です。ポイントは猿と犬の両方へのアプローチ、つまり、犬猿の仲の両方に触手を
伸ばすわけです、猿と犬がいなかったら、つくり出すまでです。」
この本の写真には例の人名注はありません。いったい誰が「解明」したんでしょうか。
14 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/11/18(木) 06:57: 数日前、「近代日本とフルベッキ」の掲載をお願いしている国際契約コンサルティング会社の社長から電話がありました。電話の内容は来月の忘年会と今後の「近代日本とフルベッキ」の進め方についてでしたが、社長の話では「野田さんの書いた今月号の横井小は内容的に難しいので、理解できる人が少ないのではないか」と危惧されておりました。よって、、その他の社長の要望も採り入れて、来月からの「近代日本とフルベッキ」は今までとは異なった筆の進め方になりますので予めご承知おきください。

しかし、社長のホームページにアクセスしてくるのは官公庁をはじめ、大手企業の国際部門の人たちが多いはずですので（それが「近代日本とフルベッキ」を掲載している理由です）、今月号の横井小楠もそれほど難しい内容ではないと思っていますが、それでも難しいという意見が出てくるというあたりに、日本丸の軽薄男である小泉純一郎船長を取り囲んでいる人たちの知的ポテンシャルが落ちている何よりの証ではと愚考しております。

さて、村田さん、貴重な投稿をありがとうございました。村田さんの投稿に「この本の写真には例の人名注はありません。いったい誰が「解明」したんでしょうか」とありましたが、「解明」したのは今月号の横井小楠でも取り上げている島田隆資氏です。昭和49年1月1日、吉川弘文館発行「日本歴史第308号」又、昭和51年1月1日、同館発行「日本歴史332号」で島田隆資氏　レポート「維新史上解明されていない群像写真について」より、写真上の人物を島田市氏は推定又は断定しているわけです。

謎のフルベッキ写真は、大隈記念館提供と新井信介氏が書いているとのことですが、多分それは複製でしょう。オリジナルは謎のフルベッキ写真を撮影した上野彦馬の直径の子孫、上野一郎元産業能率短期大学が所有しています。これを本に公開しているのは『日本のフルベッキ』（洋学堂書店）だけのはずです。そうなると、フルベッキ本人が所有していたはずの写真と同じ写真がどうかという問題になりますが、そのあたりについては今の私には分かりません。

それよりも、私は村田さんが紹介してくれた新井氏の以下のご発言に注目しました。

「宣教師という名の尖兵をまず送り込み、キリスト教の宣教に反対があると、キリスト教迫害と貿易拒否という口実で武力介入するというのが彼らの常套手段です。（中略）この写真は、外国勢力の手法を見事に炙り出した第一級の証拠物件です。ポイントは猿と犬の両方へのアプローチ、つまり、犬猿の仲の両方に触手を伸ばすわけです、猿と犬がいなかったら、つくり出すまでです」

宣教師の〝大半〟は諸外国が日本に向けて放ったスパイである点については全く同感です。翻って、フルベッキの場合について考えれば、基本的には「スパイ」の一人であったと思いますが、では、何処の組織かという点になると文献で残されているわけでもないので明確な答えは出来ないのですが、幸い、昨日の『萬晩報』に園田さんの「ビッグ・リンカー達の宴２－最新日本政財界地図(19)」がアップされており、その中に私の云いたいことが一部書いてありましたので参照願います。
http://www.yorozubp.com/
15 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/11/21(日) 11:12: 先月執筆した第二章・坂本龍馬を以下のサイトで取り上げていましたのでお知らせ致します。
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200410280000/
同じ筆者自身の筆による「明治維新とはなんだったのか：トーマス・グラバーについて
」も面白いと思います。
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200408220000/
16 名前： 野田隼人 投稿日： 2004/12/08(水) 15:13: 「近代日本とフルベッキ」の第四章　勝海舟を公開しましたのでお知らせ致します。
http://www.ibd-net.co.jp/kaientai/index.html
17 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/01/04(火) 11:11: 「近代日本とフルベッキ」の第五章・西郷隆盛を公開しましたのでお知らせ致します。
http://www.ibd-net.co.jp/kaientai/index.html
18 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/01/14(金) 06:21: 昨年の暮れ（１２月２０日前後？）、朝日新聞に例のフルベッキ写真が大きく掲載されていたという話を知人から耳にしました。未だ手許に朝日新聞をお持ちの方がおられましたらお知らせください。何故、フルベッキ写真が掲載されたのかを知りたいと思います。

ついでに、今後の「近代日本とフルベッキ」についてお知らせ致します。本シリーズは一年間の予定でして、残りは以下のようになっています。

第六章　大久保利通
第七章　大隈重信
第八章　伊藤博文
第九章　明治天皇
終章

第六章の大久保利通に関しては、『三酔人経綸問答』を著した中江兆民の大久保評を引用しています。曰く、

「　大久保は凡派の豪傑である。日本の法律・経済・道徳に今日の方針を与えたのが大久保である。大久保でなくとも日本の「欧化事業」は可能であったろうが、彼がいたためにこの事業は「堅固」に成就され、「障碍」にあわずに今日の如く成就されたのである。
　士族反乱とくに西南戦争に際し、大久保のような「剛毅」なる態度をとらなかったならば、「欧化事業」は大頓挫をきたし、文明の潮流は一時かき乱されたであろう。大久保の「屹然」たる態度は激流のなかでも動じない柱のようである」

中江兆民は大久保の力添えで海外留学の実現という私恩を受けた人物だけに、かくも大久保を高く評価したのだという人たちが大勢居ますが、そんな程度のことで大久保を持ち上げたのだとすれば、それは思想家としての自殺行為に他なりません。従って、上記の中江兆民の大久保評は真実と受け止めて良いでしょう。

第六章の大久保利通は来月の中旬にアップされます。そして、大久保利通を取り上げたからには、フルベッキ写真から次に取り上げるべき人物は大隈重信、伊藤博文と続くのが自然でしょう。この大隈と伊藤についても中江兆民は評していますが、大久保と比較して手厳しい。中江兆民よりもさらに手厳しく大隈と伊藤を酷評しているのが古島一雄でした。曰く、

「蒼海伯（副島種臣）曾て曰く、金に潔にして女に汚なきは伊藤なり。女に潔にして金に汚なきは大隈なり。某氏又曾て曰く、井上馨は強盗なり、大隈は窃盗なり」

古島氏の評価は大体当たっていると思います。

その後は明治天皇について書きますが、松重正氏の『真事実の明治維新史』を下敷きに筆を進める予定です。
19 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/02/08(火) 15:26:46: 「近代日本とフルベッキ」の第六章・大久保利通を公開しましたのでお知らせ致します。
http://www.ibd-net.co.jp/kaientai/index.html
20 名前： 藤原肇 投稿日： 2005/02/09(水) 07:39:40: 中江兆民は憲法か革命かの選択において憲法を選んだので、当時の日本の置かれた立場から、開国政策を取り入れた大久保に対して、近代的な政治体制を作ろうとしたことで評価したのではと思います。
また、伊藤と大熊に関しての評価は副島種臣が行ったのであり、古島はそれを引用したに過ぎないと思います。
21 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/02/21(月) 10:30:41: 私が「阿修羅」にアップした投稿に対して、「読者からの個人メールの転載掲示板」という副島隆彦氏が主催する掲示板に、副島氏本人がコメントを載せていましたのでお知らせ致します。コメントを読んで印象に残ったのは「（藤原肇氏）レベルの知識はすぐに超えられると思います」という副島氏発言であり、その時に咄嗟に思い浮かべたのは「群盲象を評す」という諺でした。何故、このような諺が頭に浮かんだのか、以下に簡単に述べておきます。

最初に、以下に紹介したＵＲＬの「ホロコスミックス」の図ですが、この図に描かれているものが私の云う「象」であり、その「象」について藤原博士が日頃説いておられることが多いことは、「メタサイエンス」、「マクロメガの視点による重大事件年表」などを知る藤原ブッククラスターには先刻承知のことでしょう。
http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/fujiwara/fig/fig01.html

振り返って、副島氏が自著などで取り上げている分野は、「ホロコスミックス」の図に従えば社会・国家レベルが中心であり（たまに、月着陸云々といった地球・月レベルの話も副島氏はしているようです）、宇宙レベル以上の話になるとお手上げらしいことは、ＩＢＤの機関誌『世界の海援隊』に掲載した「第１１回　国際経済のすすめ」でもすでに紹介済みです。

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それはともかく、副島氏がコンドラチェフの波動理論を持ち出したのは卓見というべきである。何故なら、コンドラチェフの波動理論は経済を分析する上での名刀・正宗に相当するからだ。しかし、その名刀を使いこなすだけの技が無ければ、その刀に振り回されるか単なる宝の持ち腐れで終わってしまう。その名刀・正宗を使いこなすだけの技を身につける近道はメタサイエンスについて悟ることであるが、どうやら副島氏はコンドラチェフの波動理論の背後に隠れているメタサイエンスの存在にうすうす気づいている様子が以下の文章からも読み取れるのであり、副島氏ほどのインテリジェンスがあれば近い将来メタサイエンスの本質を捉える可能性が高い。それにより、副島氏が剣の達人ならぬ言論の達人に一歩近づくのではないだろうか。

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　「だから、私は、欧米で生まれた、先の主要五波動の景気循環の理論は、大きくは、この四柱推命の未来予測学のサイクル理論と、おそらく一致すると睨んでいる。これまでのところ、私はいまだに本格的に、四柱推命の学や、陰陽五行の陰陽道の勉強は出来ないでいるが、近い将来この領域にも研究の幅を広げたいと思う。」
『やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくる』P.137
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「日本人への新提言　国際経済のすすめ」
http://www.ibd-net.co.jp/kaientai/backnumber2004.html
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しかし、「（藤原肇氏）レベルの知識はすぐに超えられると思います」という副島氏の発言が如実に物語っているように、副島氏は「メタサイエンスの存在にうすうす気づいている」どころか、メタサイエンスの入口にすら辿り着いていないということを知り、非常に残念な思いをしたことを告白しておきます。これでは、レシオがお金の問題だという妄想から抜け出すのは、当分の間は困難かもしれません。

参考までに、以下に副島氏の投稿を転載しておきます。
22 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/02/21(月) 10:34:21: [341] 「阿修羅」というサイトの中の、野田隼人という人の文章を転載します。 - 投稿者：副島隆彦投稿日：2005/01/30(Sun) 09:59:51 　

副島隆彦です。　私は、名前しか知らないのですが、「阿修羅」というサイトがあって、その中に以下のような批評文がありましたので、以下に転載します。
この野田さんに、言っておきますが、貴兄は、私のアメリカ政治研究の本をも読んだほうがいいですよ。そうしたら、藤原肇さん（私も面識があります。彼から手書きの手紙が年に数回届きますが、私は、彼には返事しません。彼には大きな勘違いがあるからです。）レベルの知識はすぐに超えられると思います。　副島隆彦記
（転載貼り付け始め）

「阿修羅」というサイトの中の

（１）　掲示板 > 雑談専用10
『属国・日本論』（副島隆彦著　五月書房）
http://www.asyura2.com/0406/idletalk10/msg/733.html
投稿者野田隼人日時 2004 年 9 月 12 日 04:59:04:rgym1W9ZU3nMk

(回答先: 『思想劇画属国日本史幕末編』投稿者エンセン日時 2004 年 9 月 07 日 10:12:27)

エンセンさん、『思想劇画属国日本史幕末編』のご紹介ありがとうございました。その後、副島隆彦氏のホームページ［学問道場］を訪ねてみたところ、須藤よしなおさんという学問道場のメンバーの方が『思想劇画属国日本史幕末編』の一部を紹介していました。

「５８５」本日発売のマンガ本『思想劇画属国日本史幕末編』（早月堂書房刊）の中身を一部公開。発刊記念講演会『司馬遼太郎をぶった斬る！』にもお越し下さい。２００４．０９．０４
http://snsi-j.jp/boyakif/diary.cgi

ただ、エンセンさんの紹介してくれた『思想劇画属国日本史幕末編』の一部を拝見したものの、副島氏の「バカヤロー！　ふざけたことをぬかすな！」といった台詞に代表されるように、品のない副島氏の言葉のオンパレードといった感があり、故手塚治虫の作品を知る一人として、『思想劇画属国日本史幕末編』は手にする気が起こりません。内容的には良いものだけに大変残念だと思ったのですが、『思想劇画属国日本史幕末編』は同じ副島氏が著した『属国・日本論』（五月書房）の「幕末・明治期編」を劇画化したものと後に知り、取り敢えず『属国・日本論』をクロネコヤマトのブックサービスを通して取り寄せて一読したところ、予想に反してなかなかの良書でした。特に深く共鳴したのは以下のくだりです。機会があれば拙稿「近代日本とフルベッキ」で紹介させていただく予定です。
23 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/02/21(月) 10:35:16: +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
政治の流れを大きく背後で動かしているのは、軍事力とそのための資金である。このリアルな事実を抜きにしてあれこれ見てきたようなことを書いてある本は駄本だ。現実の政治を知らない学者たちの、厳密な文献考証だけでも駄目である。どれだけの軍事援助をどのような勢力が行ったのかを見きわめようとするリアルな眼を持たなければ、幕末維新期の謎を解明することはできない。　『属国・日本論』P.200
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

このくだりを読んでピンと来たので、同書を最初から最後まで目を通してみました。そうした中で思わず息を呑んだのは、「なぜ佐藤栄作元首相はノーベル平和賞を受賞したのか」という題名の章でした。佐藤栄作元首相のノーベル平和賞受賞した理由と、それが２０年後のソビエト連邦崩壊結びつくまでのプロセスを、ものの見事なまでの副島氏のインテリジェンスで以て炙り出している箇所を読み、思わず唸った次第です。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
　私は、歴史もの評論家が過去の事実を並べたてて講釈をするように書いているのでない。ことはまさに自分がいきたこの二十数年の世界の動きは、本当はどうだったのか、に関わる私自身にとっての大問題である。私は世界史の波に洗われて、木の葉のように翻弄された自分の、躓きの多かった青年期に重ね合わせて、沖縄返還→ニクソン訪中→米中合作→佐藤氏のノーベル平和賞→ソビエト衰退を一連の出来事として今、ふりさけ見ているのである。
　これは決して私一個の感慨ではなくて、おそらく同時代を生きた日本人ほとんどを襲う共通のものであろう。一言で言えば、大きな世界史のうねりの中で自分たちは、いかに世界の広さを知らずに国内だけの視野でものを考え、行動して来たことであったか、という反省である。私は、自分とは何者であり、自分たちを動かして生かして来た大きな力の正体の一部に触れたような気がしている。今や私は、自分の出生の秘密を知ったような気持ちだ。自分とは何者か、すなわち、自分のアイデンティティを理解し、自分の過去の三十年間の思考と行動に大きく影響を与えた力の発生源を知って、驚愕したのである。　『属国・日本論』P.93
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ただ、二カ所惜しいところがありました。

一つは、「甘粕雅彦（大杉栄と伊藤野枝を殺害した軍人でもある）」（P.233）とある点です。確かに通説ではそうなのですが、大杉栄と伊藤野枝を殺害した真の犯人は甘粕雅彦ではないという説もあるのです。そのあたりの詳細は『賢者のネジ』（藤原肇著　たまいらぼ出版）の「第八章　大杉栄と甘粕雅彦を巡る不思議な因縁」に書かれていますので参照願います。

二つは、米国のシンクタンクを分類するのに、〝リバータリアン保守派〟（P.120）という表現を副島氏が用いている点です。しかし、欧米の識者であれば、個人であれシンクタンクのような組織であれ、自らをリバータリアンと名乗るような危ないことはしないはずです。「本当のリバータリアンというのは、自身がリバータリアンであることを徹底的に隠すのが本来の姿であり、自分がリバータリアンであることを公にすれば、命が幾つあっても足りない」というのがリバータリアンという存在であると、知人の在米の某識者が語ってくれたのを思い出します。
24 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/02/21(月) 10:36:10: （２）　龍馬に関する最良の書・『坂本龍馬と明治維新』
http://www.asyura2.com/0406/idletalk10/msg/784.html
投稿者野田隼人日時 2004 年 10 月 12 日 16:33:46:rgym1W9ZU3nMk

(回答先: 第五章　解き明かされる明治維新の裏（新潮社）投稿者エンセン日時 2004 年 8 月 04 日 05:12:49)

『近代日本とフルベッキ』の「第二章　坂本龍馬」をアップしましたのでお知らせ致します。ご参考までに、冒頭にマリアス・ジャンセンの著した『坂本龍馬と明治維新』を取り上げていますので、以下に転載致します。なお、「第二章　坂本龍馬」の全文を読みたい方は以下をクリックしてください。
http://www.ibd-net.co.jp/kaientai/index.html

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１．龍馬に関する最良の書・『坂本龍馬と明治維新』
　本シリーズの連載を開始するきっかけとなった『ニューリーダー』誌の対談記事、「近代日本の基盤としてのフルベッキ山脈」が『賢者のネジ』に収録され、６月３０日に発行されてから早四ヶ月が経った。偶然にも、出版元のたまいらぼ出版の玉井禮一郎社長と知己の間柄であったことから、同書の編集の一部を手伝う形になったのであるが、そのお陰で本の企画から出版に至るまでの一連の流れの大凡を知ることが出来たのは貴重な体験であった。結局、たまいらぼ出版には月に２回程度のペースで編集のお手伝いに行ったことになるが、そうした編集作業の合間に玉井社長との何気ない雑談もあり、今から思うに大変有意義な雑談であった。そんなある日、たまたま坂本龍馬のことが話題になり、「幕末から明治を描いたもので、一番優れた本は何だと思う？」と玉井社長が尋ねてきたので、即座に「『坂本龍馬と明治維新』（マリアス・ジャンセン　時事通信社刊）だと思います」と筆者は答えている。『坂本龍馬と明治維新』には未だ一度しか目を通していないが、龍馬の手紙を活用して見事に龍馬像を描き出しており、同書が高い評価を得ている理由がよく分かったものである。果して、『賢者のネジ』の「近代に日本の基盤としてのフルベッキ山脈」でも以下のように『坂本龍馬と明治維新』を高く評価していた。

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藤原肇：徳富蘇峰は変節漢だけでなくインチキ男です。権力に懐柔されて御用言論人になってしまい、政府のプロパガンダの旗振り役でした。だから、弟の徳富蘆花からも変節を理由に義絶されており、行き着いたところはファシストの権化でした。三宅雪嶺が歴史の資料に手紙を活用したように、マリアス・ジャンセンも『坂本龍馬と明治維新』（時事通信社刊）の中で、手紙を使って心理分析と状況判断をしており、幕末から明治維新にかけての時期を描いたものでは最高です。続いて大仏次郎の『天皇の世紀』（朝日新聞社刊）があり、その次には奈良本辰也が書いた各種の歴史評論がある。その後に、萩原延寿の『遠い崖』（朝日新聞社刊）や村松剛の『醒めた炎』（中央公論社刊）になる。しかし、小説は１０位以下というのが私の判定です。
小島直記：小説はフィクションとして読者に迎合するから、どうしても面白くしなければならないので無理がある。あれだけ国民に人気のある司馬遼太郎でも、かなり嘘を書いているのに、読者はそれに気がつかないで、小説を歴史と取り違えている。小説を書くときの悩みはそれをどう克服するかであり、そこに小説や文学の限界を感じた。そのために、私は同じ小説でも伝記を書くことに人生の路線を改めました。そして、人間を描くことを通じて彼が生きた時代に迫り、歴史の空白部を埋めることができないかと思って、これまでなんとか仕事を続けてきたが、雪嶺の『同時代史』を読んだ時には衝撃を受けました。
『賢者のネジ』（藤原肇ほか　たまいらぼ出版）P.142
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25 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/02/21(月) 10:36:35: ところで、過日副島隆彦氏のＨＰを訪問しましたが、「気軽にではなく重たい気持ちで書く掲示板」という名の掲示板に副島氏本人が投稿しており、偶然にも『坂本龍馬と明治維新』を評価していた箇所に目に留まりましたので、その一部を以下に引用します。

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[3856]私の考え投稿者：副島隆彦投稿日：2004/09/25(Sat) 07:00:39

監督をした、エドワード・ズーウィックという人は、プリントン大のマリウス・ジャンセンという、ライシャワー系統の日本学者（日本あやつり人間の系譜）の弟子だ。Ｍ．ジャンセンは、『坂本龍馬と明治維新』という本を、１９６１年に書いて、１９６４年に翻訳されている。
この本は、平尾道雄（ひらおみちお）という高知新聞の人が、（この人は『海援隊始末記』（中央公論社　１９７６年刊）と書いたのだが、）翻訳をしている。ジャンセンの本が、ひどい謀略本であって、それを下書きにして、司馬遼太郎が、後世ばれないと思って、『竜馬が行く』を書いた。

本当は、坂崎紫潤（ジュン？）という明治の人が、『坂本龍馬　海援隊始末記』という本を書いていて、それをいろいろに改作したのが、上記の人たちだ。
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ここで、藤原ブッククラスタであれば、上記の副島氏の投稿を読みながら、ニヤリとしながら『理は利よりも強し』の第五章・「アメリカの対日強硬派の虚実」を思い出したのではありませんか？

幸い、『理は利よりも強し』の第五章は過去の脱藩道場総会のテキストとして採用され、以下のＵＲＬに全文が載っていました。
http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/fujiwara/sokai/02s/ri05.htm

むろん、ジャンセンの親分であるライシャワーも取り上げていますので、この機会に一読の上、皆様のご意見をお聞かせいただければ幸いです。第五章を読めば分かりますが、副島氏が日頃持ち上げているチャルマーズも形無しです。また、第五章には丸山真男についての記述もあり、副島氏の著した『日本の秘密』にある「付　章　丸山真男の死」と好対照をなしていますのでご注目ください。

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　専門分野や特殊領域には別の指標を使うが、日本の政治や戦略への関心を測るためには、丸山真男の「戦中と戦後の間」（みすず書房）、小室直樹「危機の構造」（ダイヤモンド社）、永井陽之助の「現代と戦略」（文芸春秋）の三冊をもっぱら利用している。
　これらの本は日本語版しかない名著であり、日本の政治を知る上で必要文献に属す。だから、その図書館が何冊これら本を保有してどれだけ借り出されたかを調べ、そこの大学の頭脳水準を測る目安としている。
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追伸
蛇足ながら、たまいらぼ出版の出した『「日米対決」と石原莞爾』という本の原作者・マーク・Ｒ・ピーティはジャンセンの弟子であり、ライシャワーの孫弟子に相当します。ジャンセンが何故ピーティ氏に石原莞爾を書くように勧めたのか、上記の謎解きと併せて今度の週末にでも思索を巡らせてみると面白いと思います。

（転載貼り付け終わり）

副島隆彦記
26 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/02/24(木) 04:07:18: ブッククラスターの一人から、私が月曜日に取り上げた副島隆彦が、船井幸雄と対談した本が出たと知らせてくれました。

『日本壊死―新しき人目覚めよ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4828411755/qid=1109184317/sr=1-2/ref=sr_1_10_2/249-5944704-8873118

また、船井氏が副島氏の印象について自身のサイトで語っています。
http://www.funaiyukio.com/webbana/index_0412_02.html

船井幸雄氏の評価については、船井氏と交流のあったという私の知り合いの宍戸幸輔翁から直接幾度かお聞きしたこともあり、翁の船井氏に対する態度は、それは辛辣なものでした。また、最近は多忙なのでしょうか、珪水さんも船井氏に対して良い評価は下しておりません。なお、船井氏については日本脱藩のすすめメルマガでも取り上げています。ブッククラスターの人たちは、思い出す意味で再読いただければ幸いです。
http://dappan.hp.infoseek.co.jp/dojo/magmag/mag59.html

私はお二人の対談本は買う気も起こりませんが、読んだという人がおられましたら、感想を本スレッドに投稿していただければと思います。
27 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/03/15(火) 11:32:35: 「近代日本とフルベッキ」の第七章・大隈重信を公開しましたのでお知らせ致します。
http://www.ibd-net.co.jp/official/kaientai/index.html

早大を徹底的に叩いたのにも拘わらず、敢えて掲載してくれた早大出身のＩＢＤ社長に感謝しつつ。
28 名前： 石黒秀光 投稿日： 2005/03/15(火) 13:59:50: 副島隆彦が人間を見る目がないことは、船井幸雄のようなインチキ男を相手にして、嬉々として対談本を出したことで、証明されたと言っていいでしょう。
所詮は元気がいい保守派の言論人に過ぎないことは、小林よしのりを相手に対談したときから明らかで、いよいよ馬脚をあらわしているということでしょう。
色んな意見があるのは結構なことですが、それにしても船井に引きずり込まれるとはね。
29 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/03/15(火) 15:52:10: 石黒さんの記事を読み、思い出したことがあるので以下に書きます。

知人から、船井幸雄と副島隆彦の対談本に高橋靖夫のことを書いているという連絡を受け、最初は『日本壊死』などは手にする気もなかったのですが、高橋靖夫氏のことについて書いてあるのならとオンラインで取り寄せてみました。本が届き、早速紐解いてみたところ、そこには以下のように書いてありました。

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船井：確か、最初に高橋靖夫さんという金融評論家の方が言ったのでしたか、これを「ワシントン＝リヤド密約」と呼んでいるようです。『日本壊死』p.19
中略
副島：私の見解も高橋靖夫さんの説を一部使わせてもらいました。それでも私の理論の方がずっと大きい。世界規模の政治思想まで含んでいますから。『日本壊死』p.21
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上記のお二人の発言が私を楽しませてくれたことは言うまでもありません。また、その他にも以下のようなお二人の発言がありました。

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船井：私のパソコンに、毎日のように彼から世界情勢に関する分析レポートを送ってきてくれるのですが、これは読む価値があります。岡崎（久彦）さんは世界情勢に非常に詳しいですよ。
副島：岡崎久彦先生は「アメリカ人にしっかりついていく派」で、私は「アメリカべったりに反対派」です。しかし、水と油ということでもありません。同じ日本を愛する日本人として語り合えると信じています。『日本壊死』p.160
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副島が岡崎久彦氏を高く評価していたとは知りませんでした。今まではその逆だとばかり思っていたので、大変勉強になりました。

極めつけは、船井の以下の発言です。

船井：私の仮説ですが、地磁気が弱くなる最大の原因は人間のストレスだと思えるのです。『日本壊死』p.201

恐らく、「我が意を得たり」とばかりに、副島氏は満面に笑みを浮かべていたのではないですか？
30 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/03/30(水) 05:40:22: 来月アップ予定の「第八章　伊藤博文」では、伊藤博文暗殺事件を中心に取り上げる予定であり、忙しい本業の合間に調査を進めつつ執筆中です。そして、暗殺事件に絡んで以下のような疑問が生じてきましたので、皆様のご意見を訊かせて戴きたく問い合わせさせていただきますので宜しくお願い致します。なお、私は伊藤博文は安重根の凶弾に斃れたという世間に流布する一般説に対して、疑念を抱いている１人です。

■伊藤暗殺の黒幕は誰（何処か）か？　→伊藤の暗殺で最も恩恵を受ける者あるいは組織は何処か？私の思うに、黒幕の候補者（？）は以下を挙げることができると思います。
１．韓国が黒幕という説
２．日本が黒幕という説
３．ロシアが黒幕という説
４．汎地球規模の組織が黒幕という説
「１．韓国が黒幕という説」は一番腑に落ちやすいと思います。何故なら排日団体にとって伊藤博文はどういう存在であったか改めて述べるまでもないことだからです。また、その構成分子の１人であった安重根が伊藤を暗殺したと云うことに世間ではなっています。確かに、伊藤が安重根の銃弾に倒れたのではなく別の人間の手による銃弾に倒れたのだとしても、伊藤暗殺の黒幕は排日団体であるとする線が、一番有望であると現在のところ私は思うのですが、皆さんは如何でしょうか。

「２．日本が黒幕という説」ですが、たとえば、上垣外憲一の『暗殺・伊藤博文』や大野芳の『伊藤博文暗殺事件　闇に葬られた真犯人』などは日本黒幕説を取っています。特に大野氏の場合、後藤新平から伊藤の訪満を知らされた杉山茂丸が犯人であるとしていますが、この推測には無理があるような気がします。本当に杉山が伊藤を消したいと思っていたのであれば、何もわざわざ満州で実行する必要はなく、当時の日本にも暗殺を引き受ける組織はいくらでもあったのですから、そうした組織に頼めば済むことだからです。また、ご存知のように杉山茂丸は一進会の顧問だったのだし、安重根の排日団体とは水と油の関係だったのですから尚更です。

「３．ロシアが黒幕という説」については、確かに一応は「ミハイロフ」というロシア人が伊藤博文の暗殺に関与していたことは知れ渡っていますが、だからと云ってそれが必ずしもロシアそのもの、例えばロシア皇帝の指図によってミハイロフが働いたという証拠にはなりません。現在のところ、ミハイロフなるロシア人は金儲け、武器ブローカーとしての存在に過ぎないと私は推測しています。

「４．汎地球規模の組織が黒幕という説」の例の一つに、ロスチャイルドが「裏切った伊藤博文」を暗殺したという説です。掲示板「阿修羅」などにも載っていますが、どうもこの説には胡散臭さが漂います。現在のところ、真面目にこの説について追求する気は起きません。

皆様の考える黒幕およびそう思う根拠をお知らせください。また、以下はお願いです。

■安重根の遺した『伊藤博文の罪悪』の謎
安重根自ら遺したという『伊藤博文の罪悪』に以下のような一節があります。

「１８６７年、大日本明治天皇陛下父親太皇帝殿下弑殺の大逆不道の事」

安重根に上記の件を伝え、かつ『伊藤博文の罪悪』に認めた、あるいは認めさせたのは誰（組織）なのかを示す情報をお持ちの方はお知らせください。伊藤暗殺に関して、現在の私にとって最大の謎になっています。なお、『伊藤博文の罪悪』は、外務省の外交史資料館に遺っているものです。実は、この件は再来月に執筆予定の「第九章　明治天皇」と絡みます。

■フルベッキ写真に写る「伊藤博文」の謎
フルベッキ写真に写る「伊藤博文」とされる人物に興味があります。写真に写る「伊藤博文」が本物かどうか判定する前に、フルベッキ写真が撮影されたとする1868年12月（明治元年10月）～1869年1月30日（明治元年12月18日）の間における伊藤の行動を知りたいのですが、肝心な資料が見当たりません。ご存知の方は上記期間の伊藤の行動を示す典拠をお知らせください。

以上、宜しくお願い致します。
31 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/04/12(火) 11:28:13: 「近代日本とフルベッキ」の第八章・伊藤博文を公開しましたのでお知らせ致します。
http://www.ibd-net.co.jp/official/kaientai/index.html
32 名前： 新島茂 投稿日： 2005/04/13(水) 00:15:22: 伊藤の養子に娘を嫁がせている高島嘉右衛門が伊藤の朝鮮訪問にさきだって　
筮した卦のことには今回触れておられませんでしたね、嘉右衛門はその身を
案じて訪問を取りやめるよう人伝には伝えてはいるのですが、
佐久間象山のときのように伊藤はその卦を呑み込んで出立してるのですね。
ちなみに伊藤は嘉右衛門とは易友でもありましたので、その卦の意味は十分
知っていたようです。
最近の本では新潮新書から出ている、高島易断を創った男　持田鋼一郎著
のおしまいの方で嘉右衛門の出した卦が紹介されてますので
易に興味のある方は今回ご紹介の各説と照らして読み合わせてみるのも一興か
と思います。
33 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/04/13(水) 05:07:14: 新島さん、貴重な情報有難うございました。『高島易断を創った男』（持田鋼一郎著　新潮新書）は未だ絶版になっていないようですね。早速オンラインで取り寄せてみます。その上で今回私の出した各説と比較してみたいと思います。その上で思うところがありましたら投稿させていただきます。

尤も、過日『百人一首の魔方陣』を執筆された太田明先生の本も、一読後に読後感想を投稿すると云っておきながら、本業に追われてそのままになっているのは恥ずかしい限りです。今回も、もしかしたら投稿できないままで終わるかもしれません…。太田先生の『百人一首の魔方陣』は、学校の授業で百人一首を暗記させられたという息子に貸していますが、そろそろ返してもらわなければなりません。

易と云えば、東明社の吉田社長と時折語り合いますが、同社で出版している『易と自然科学　運命の研究』（武市雄図馬著）も拙宅の書架に十年近く置いてありますが、未だに半分程度しか読み進んでいないのは宝の持ち腐れですので、時期を見て一気に読了したいと思っている今日この頃です。
34 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/04/14(木) 06:06:59: １２日、「阿修羅」という掲示板に伊藤博文に関する最新号がアップされた旨投稿しました。
http://www.asyura2.com/0406/idletalk10/msg/361.html

そして、今朝たまたま阿修羅の表紙を訪問して気づいたのですが、今まで表紙に紹介されていた以下のページへのリンクが取り外されていました。
http://www.asyura2.com/0406/idletalk10/msg/799.html

多分、「第九章　伊藤博文」の以下の記述が阿修羅の管理人の癇にさわったのでしょう。
**************************************************************************
７．ロスチャイルド説
　ロスチャイルドが「裏切り者の伊藤博文」を暗殺したという説が、インターネット掲示板「阿修羅」などで真しやかに流れている。しかし、どうもこの類の陰謀説には胡散臭さを感じる筆者であり、真面目に陰謀説を追求する必要性を感じない。
**************************************************************************

阿修羅という掲示板は、「胡散臭い陰謀説が一杯で、素晴らしい掲示板です」とでも誉めないと、管理人さんに気に入ってもらえないのでしょう。
35 名前： 野田隼人 投稿日： 2005/04/15(金) 14:09:16: オンラインで発注した『高島易断を創った男』が本日宅急便で届きましたので、新島さんに教わった同書の最終章である第六章「国家の運命を占う」に早速目を通してみたところ、同書（p.181）の以下の記述目が止まりました。

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伊藤（博文）と会ってしばらく話した後、（高島）嘉右衛門は今度の満州行きを何とか中止できないかと持ちかけた。勘のいい伊藤はすぐに自分の満州行きに関して嘉右衛門の立てた易の結果が好ましいものではなかったことを察した。死を覚悟して旅立とうとしている伊藤は自分に易の結果を告げるように嘉右衛門を促した。

…中略…

今日に至るも伊藤の真の暗殺者が誰であったかは謎に包まれてたままであるが、嘉右衛門の易は見事に的中し。
*****************************************************************************

伊藤を暗殺した黒幕について、多少は推測が書いてあるかと思いましたが、結局同書には暗殺の背景については何も書いてはなかったものの、改めて易の神秘性を再認識した次第です。また、伊藤暗殺の占いに関するテーマ以外で、同書の中でも思わず息を呑んだのは、p.175の以下の下りでした。

*****************************************************************************
三十八年五月、バルチック艦隊がフランス領安南に停泊しているとき、嘉右衛門はウラジオストックに向かうバルチック艦隊の航路に日本海軍のこれに対する勝敗の機を占い、水沢節の初爻を得た。この卦を得た嘉右衛門は、日本海軍は本拠を動かず敵の艦隊の航路を知ることが出来ると解している。

…中略…

明治三十八年五月二十七日午後一時三十九分、日本海軍の連合艦隊は沖ノ島付近でバルチック艦隊を発見、東郷平八郎司令長官の考案した「丁字戦法」が功を奏して日本海軍が圧勝、バルチック艦隊は壊滅した。
*****************************************************************************

今まで、日本海軍がバルチック艦隊の航路をズバリ予測し、それを破ることが出来たのは、偏に東郷平八郎あるいは平八郎の側近（知謀）の優れた〝インテリジェンス〟とばかり思っていただけに、それが易であったとはあまりにも意外でした。同時に、ちょうど一年前に「人間の知識などは九牛の一毛」と語っておられた藤原博士、そして故今泉久雄さんが著した『易経の謎』（光文社）を思い出したことでした。今の私の気持ちは、同書のあとがきに書いてあった以下の記述で言い表せると思います。

*****************************************************************************
今日の日本を代表する数学者の一人、丹羽敏雄氏は、「世界は数値と物質だけで説明することは不可能で、宇宙の眼に見えない『霊』的な側面を認めなければならない」ということをはっきり断言されている。（『数学は世界を解明できるか』）
*****************************************************************************

易経を迷信と見るか真理と見るかで、その人の人間性なり器の大きさが窺い知れるといとうものです。
36 名前： 新島茂 投稿日： 2005/04/16(土) 13:25:18: 昭和３２年に出ている紀藤元之助著「易聖高島嘉右衛門」という本には
こんな風に書かれています。
長い引用文になって恐縮ですが、今この本は入手しにくいので、
ご参考までに。紀藤さんは故人ですが、「実占研究」という雑誌を４０年間
大阪で発行していた易占家の方で、この本のもとになったのは易学研究という
研究誌に昭和２０年代より連載されていたのが纏められたものです。
…博文は春畝と号し書を良くし、嘉右衛門には易、繋辞伝の辞を特に書いて
くれたりした。…いくたびか出た「高島易断」のうち伊藤は諸所に顔を出すが、
その身上の占をしたことはあまり書かれていない。
伊藤が満州視察に赴いた頃の嘉右衛門は既に脚が悪く、その出発も挨拶に来た
伊藤を寝床の上で見送ったくらいだし、三十九年以後は「高島易断」も増補や
改訂を行っていないから、凶刃にたおれる伊藤の安否を占したことは掲載されて
いない。
「ぢゃァ行ってくる」そう云って立った博文に「気をつけてお出なせえ、
易は艮為山の九三でしたよ」と嘉右衛門は云った。前に見ておいたのだが、
あまり良い卦ではないので黙っているつもりだったが、やっぱり気に掛る
ので得卦の名だけ告げた。「ありがとう。其の背に艮まりて其の身を獲ず、
其の庭に行きて其の人を見ずか」伊藤はこの運命的な彖辞を軽く口誦んで、
嘉右衛門の病床を去った。卦というものは嘉右衛門のいう通り神の語学だ。
繋辞伝に、「其の命を受くるや響の如く、遠近幽深有ること无く、遂に来物
を知る」とある。嘉右衛門は自身の判断を告げなかったが、伊藤も遂にきかず
に出かけた。
伊藤がいざ出発という夜急に停電した。ローソクよランプよと騒いだら、一番先
に灯を点して来たのは岐阜提灯だった。凶事のあと「あれが予兆だったらしい」
などと側近の間で語り合われたが、伊藤は出発の二、三週間前に嘉右衛門から
得卦をきいてい、その夜は池上本門寺のお会式で熱狂的な法華太鼓が響いてくる
のをきき、「法華の太鼓に送られて出かけるか」と呟いたという。彼は或いは死
を予感していたのかもしれない。
「高島易断」の中の艮の九三は、「止塞開き難し。自ら事を設け意の如くならず、
心痛の余り背筋凝結して卒倒するの象あり、門前にて怪我する象あり、屈伸を得ず
して上下隔絶し、心安からざるの甚だしき意あり。此の爻変じて剥となる、将に
落ちんとするの象、助けなきなり。党類の首長、其心堅固にして手段を尽くし、
半途にして腰折るる象あり。」とある。
嘉右衛門及び博文が、この卦を見て果たしてこのままの占断をしたかどうかは
不明だが、兇漢の名が安重根と云い、（根は艮と同音、同義即ち重根は艮為山
である）
凶器を振るって刺殺したのだから、卦辞・爻辞そのままの状況だっと云える。

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