日本脱藩のすすめ
1980年08月20日初版発行 本体価格980円+税
東京新聞出版局
絶版
若者よ、今こそ精神の開国を!
祖国の若い世代に、日本脱藩への勇気を持って挑戦するように呼びかけます。これはなにも日本を脱出して海外に行けという意味ではなく、閉鎖的な日本精神の枠を踏み越えて、自らをのり超えることで、より高い次元に立つ自己を再発見する必要があるということです。一流と呼ばれる大学や貨車に入ることは、青春を賭け、生き甲斐を追求する道としては余りにも挑戦と夢がなく、手に入れるものもタカが知れています。自分の足で立ち、自らの責任で判断し、行動できる実力を持てば、どんな時代を迎えても充実した生の感動と自由自在な生涯を実現しうるものです。
藤原肇
目次
1 人生は節目で翔べ
なぜコンサルタントか/ビジネス・ゲリラ時代が訪れる/四○代ヘのひと区切り/図書館に入学し学生運動で修行する/知識より見識ォ/何でもしてやろう/禁止の人生/待遇で人生は決められない/正規軍の時代は終わろうとしている/下から見れば見えてくる/シベリアとカナダの兵要地誌/コンサルタントからベンチャー・ビジネスへ/無意味な帰属感覚/ペンチヤー・ビジネスとは何か/戦後版大艦巨砲主義は破綻する/地下権のビジネス/会社を作っては売る発想/寄生と安住のオンブお化け/ベンチヤー・ビジネスが育つ条件/稟議制では間にあわない/日米関係破綻の日/母国を超える
2 一匹狼こそ素晴らしい
ビジネスにおける組織と個人/知識集約型産業社会へ/大組織に見切りをつける/精神の開国と機会の門戸開放/フリー・エンタープライズの思想とシステム/ファシズム日本の予兆/国民国家の没落/ベンチャーの精神と機動性/ベンチャー・キャピタルの不在/八〇年代の決め手/ビジネス開国の可能性/金融業の八〇年代/ニセ札と石油の経済学/粉飾決算国家/つきあい方を知らない日本外交/「賢人会議」というけれど..../ソ連の伝統指向型底力/中国への転進は成功するか/一匹狼こそ素晴らしい
3 八○年代の四次元思考
軍隊の進化論/石油と食糧の戦略的意義/四次元空間の産業と情報/相手より多くの情報を持つ/新聞の読み方/三本の鉛筆/カゴかき文化と鉄道馬車/アズの魔法と日本人/己を知る視点/一流とつきあえ/知恵のある老人とつきあえ/若さと達観/コミュニティの団結力/八〇年代の安保保障/スペシャル・クオリティを売る/どうスペシャライズするか/実力と平等/ソフトウエアの基本から出直せ/石油開発の技術水準/マネビ取ること、創り出すこと/文明の雷鳴と自己改革/生き残るためのノウハウ/二一世紀型の連邦構想/閉じこもれば自滅する/日本人であることを乗り越える/品性と見識/ブリリアントな著述/知恵のある老人と老害人間
あとがき
あとがき
いつの時代にも、わが道を行くユニークな生き方をする人はいるのですが、このごろは特に従来とは変わった人生を歩む人が多く目立つようになりました。しかし、藤原肇さんほど割り切って充実した生活をしている人は珍しいのじゃないか、と思います。藤原さんは地質学者であり経営者でもあります。カナダで資源コンサルタント会社を持ち、アメリカで石油開発会社を経営する、世界を股にかけた国際ビジネスマンです。国際社会で活躍する強烈な個性の持ち主です。そして、八〇年代の不確実で不安が先立つ時代に対する身の処し方として藤原さんの生きざま、物の考え方は非常に新鮮でスッキリしております。
なかには、こんな考え方にはついてゆけない、と違和感を抱いたり、あるいは、なにをこの野郎と反感を持つ人もあるでしょう。しかし、それはそれなりにスジが通っていると思う人も数多いと思います。編者としましては、この藤原さんの考えを十分に受けとめて、自分の考えをまとめ投げ返していただければ、この本を送り出す意義があると考えております。彼は彼、我は我なのです。この考え方でゆけばだれでもうまくゆくというものではありません。自分はどう生きるかを考える一つの指針として読んでいただきたいと願っております。
一九八〇年 初夏
東京新聞出版局編集部
著書
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