宇宙を構成し、支配している波動のリズムは、森羅万象に調和と均衡をもたらせている。秘密の鍵は フィボナッチ数列(黄金分割)にあり、その活用が超意識の世界に導くことを教える秘伝の書。
はしがき 人類の意識革命を願って
砂生記宣 一九八九年晩秋
目次 はじめに 第1部 超宇宙パワーのプラクシス(実践) 砂生記宜1、超宇宙パワーの本質宇宙には異次元の世界が共存している超宇宙パワーは生命波動である 超宇宙パワーの三大要素はエネルギー・情報・意志である 人類の誕生以来授かっているものである 人類の意識が進化すればパワーも進化する 現代は意識文化の転換期である 人間が超宇宙パワーに感応すると、さまざまな形を描く 円と三角形は物質世界の基本形である 仏像はパワー感応の姿を表現している 人間なら誰でも修得できるものである 2、超宇宙パワーの実用化宇宙の波動にはリズムがある人体は宇宙波動の集合体である 自分の病気は自分で治せる 和音(ハーモニー)こそ音楽の原点である 音楽療法とパワー療法は今後の医療の主役である 現在の音楽療法には限界がある 低俗な音楽の氾濫は人間の精神と肉体を損う パワーのリズムは植物を活性化する 農業は自然農法に回帰せよ バイオテクノロジーは農業破滅への道 老人医療問題の解決はパワーの応用しかない 宇宙医学はパワーによって解決できる 3、異次元世界との交流異次元世界はあらゆる階層に分かれている1神(仏)界 2霊界 3幽界 4地獄界 5魔界 人間の一生は自已と異次元世界の共同作品である 人間の自覚によって運命が変わる 二流、三流の人間には理解ができない宗教の枠を超えなければ救いはない 神を動かすのは人間である 人格の向上こそ人生最大の目標である 第2部 対談 超宇宙パワーのミュトス(神秘) 藤原VS砂生超の次元超意識パワーについて 悟りの境地への近道 音とハーモニーの威力 第3部 宇宙バワーのロゴス (論理) 藤原肇新パラダイムとの出会い砂漠のオアシスでの瞑想生活 宇宙統一の法則 宇宙システムの階層性 水の分子と構造の不思議 形態形成の多次元フィールド マクロコスムとミクロコスム 美的感覚と黄金分割 フィボナッチ数列の魅力 人間の知覚領域 波動がもたらすシンフォニー 音響学の元祖ピュタゴラス 第4部 宇宙パワーのフユシス(本性) 藤原肇振動体宇宙の鏡像万物の根源としての水 波動による水の変性 分子の放送局の電波 知られていない水の秘密 ピラミッド・パワーの原理 宇宙パワーと生命のリズム 生体レーザーとプロトン・プラズマ 瞑想と超意識のオントロジー(存在論) あとがきあとがき人間は同じ川に二度入れないという警えを使い、存在するすべてを変化の相として捉えて、それを「万物流転」の形で表現したのは、イオニアの自然学者のヘラクレイトスであり、同じような考え方をより体系づけて、陰陽と太極の見事なパターンにまとめたのが、古代シナが生んだ易の思想です。古代人の直感と思索がもたらせた叡知を、三千年の歳月を間に挟みながらも、われわれは宇宙原理のエッセンスとして、極めて手軽に味わっていますが、これは各人が人類の遺産の相続人だということです。 これは何もヘラクレイトスや「易経」だけではなく、すべての古典に共通することであり、「旧友は信ずべし、古典は味わうべし」と言うように、知恵が発酵してもろみの出ている思想には、多くの滋養分が含まれているものです。また、一種の知的好奇心というよりも、恐らくは、江戸っ子の野次馬根性でしょうが、領域の種類を問わずに論争問題が好きであり、高みの見物を決め込むのが私の道楽です。それが意識の隅にあるせいでしょうが、私は昔から図書館で乱読する習慣があって、見知らぬ土地を訪ねるような時でも、その町で最大の図書館に入って見ることにしています。 或る国の社会投資の内容や尺度を計るときは、ビルや道路という目に見えるハードウェアよりも、町や大学の図書館に行った方が結果は良好です。それはハードウェアは金の関数であり、成金趣味の豪華建造物は幾らでも作れますが、歴史の垢や公共的ソフトウェアに相当するものは、図書館の蔵書傾向と内容に集約して現われ、目安として一番信頼が置けるからです。 経済大国を称している日本の場合は、残念ながら蔵書の質が非常にお粗末であり、辞書類と文学全集を除くと大した本が無く、図書館にふさわしい蔵書と言うよりも、むしろ、一種の大型貸し本屋に近いのが実情です。これは日本の出版事情にも影響を与えており、図書館だけで最低量を保証する市場を構成しないために、興味深い内容の本を得意にする小出版社が活躍できず、大量出版大量販売を狙う本の洪水ばかり出現し、悪書が良書を退けかねないのです。それは書店を覗けば一目瞭然でして、売れそうなハウツウ物だと一目で分かる本や、宣伝力を使った売れっ子著者の本ばかりが並び、たとえ内容的に優れていても、ちょっと古い本は見掛けなくなってしまうのです。 昔の本屋は店主に当る人が目利きであり、時によると読書のアドバイスをしてくれたものですが、電気の修理ひとつ出来ない人がテレビ屋をやるのと同じで、本を単なる商品としてしか扱えない人が書店経営者ですし、出版社のマネージメントをする時代性のために、本書で取り扱うようなテーマは、日本ではあまり見かけなくても不思議ではありません。 その意味で、偶然とは言えこの本を手にした読者に対して、この一期一会の出会いを心から歓迎したいと思います。 時代の潮流の中に押しながされていると、自分がその中に取り込まれていることや、どの方向にどんな具合に動いているかも分からないし、時間や空間的な位置付けもはっきりしないものです。だから、どうしても内なる存在の立場から抜け出し、流れ自体を眺める視座を手に入れて、全体を展望する必要がありますが、その最良の方法は何と言っても瞑想です。その有効性については人類の歴史が証明しており、瞑想を通じて人類は叡知の結晶化を果たし、それを古典の行間や秘伝のノウハウの中に、密かに書き留めて来たのです。 だから、その秘められた叡知を見つけ出すためには、プロセスを逆の方向に遡行することが必要です。たとえ、個々の出来事は記憶に残っていなくても、潜在意識の底に沈んでいる系統発生の歴史と、ホモ・サピエンスとして蓄積した過去の知識と経験は、安らぎとハーモニーの中で共振現象となり、そこで生まれるシナジー効果によって、宇宙の叡知は瞑想を通じて蘇って来るのです。 なぜならば、潜在意識や超意識を含む内在系は、すべての母体である宇宙精神の故郷であり、森羅万象としてわれわれの周りに現れるモノやコトは、そこから投影されるパターン化された干渉像だからです。しかも、そのエネルギー源は宇宙パワーであり、砂生さんが永年の修行を通じて自在化した真言の秘法は、誰の目にも全く不思議な術というより他はなく、生来の野次馬精神に富む私にとって、沸き上がる好奇心は抑え難いほどでした。 それは数学的に複素数と呼ばれている、虚数の次元に関わっている事柄について、具体的な形で扱うことになるからです。 明晰な論理が通用する数学の世界でも、負数や虚数は仲間外れにされていることが多く、虚数は有りうべからざる数として、一九世紀までは継子扱いを受けており、数学的実在として認知されて以来まだ日が浅いのです。当然のことで、物理学を始めとした他の自然科学の分野では、虚数は実在と非実在を隔てる精神的壁のために、その存在を受け入れられるに至っていません。その代表がアインシュタインの相対性理論であり、光の速度を越えることが出来ないという光の壁が、物理学者達をがんじがらめにしています。 自然科学のバックグランドを持ち、地質学のプロとして四半世紀も生きてきた私としては、この常識の壁を乗り越えて虚次元を導入し、暗在系と顕在系に橋を架ける必要性を感じていたものの、具体的にどうしたらよいかは良く分かりませんでした。ルネッサンスの時代の先覚者達は、生命を賭けて地動説のパラダイムを打ち立てると、宇宙を宗教のドグマから解放しましたが、何百年かの時問の流れの中で、今度は自然科学が自らを常識の枠の中に追いやり、人々の意識を狭い時代精神の鋳型に嵌め込んでいるのです。 この桎梏から抜け出すためには、私は自然科学から自然学に転じる必要性を感じ、さらには「温故知新」で古代の叡知に学ぶ所に遡って、出直すのがよいと思い当たりました。 地質学という学問は地球を患者に見立てた医学であり、太陽系のレベルで地球の生理現象を扱うので、生命論的なアプローチを使い、自然現象一般を考えてみることにして、その取っ懸りを水に求めた理由はそこにあります。 水は地上の生命現象にとって最も重要なものですが、あまりにも普遍的な存在であるために、科学が放置したままにしている巨大な盲点でもあります。それだけに、手探り状態で進まなければなりませんでしたが、お陰で水素結合やプロトン・シンメトリーにたどり着き、ガン細胞の分裂機構や核力によるパラマグネチズムという、学問の最先端領域の雰囲気も垣間見せてもらえました。その上、予想もしなかった成り行きから、私がこれまで敬遠して足を踏み入れたことのない、別棟の言語である音楽の世界の中にまで、共振に関係する音響学や波動理論を通じて関係したのは、全くの驚きと言うより他はありません。
それが瞑想の不思議さであり、そんな体験の一つを参考までに紹介してみましょう。 それは或る日の瞑想の最中のことですが、私のまぶたの彼方に拡がっていたルリ色の光芒の中に、突然ブクブクと泡が浮かび上がり、泡が接し合って亀甲状のヘクサゴンのパターンが出来上がりました。その時になって永らく忘れていた夢を思い出し、その夢で同じように泡が発生するイメージが現われ、泡のそれぞれが一つの宇宙であることを、何処かから響いてきた声に教えられた記憶が蘇ったのです。 そして、その時以来、宇宙は宇宙システムの構成要因であるだけでなく、宇宙がヘクサゴンから成ることに確信を持ち、それがマクロコスムのパターンだと納得できたのです。 このように瞑想は宇宙意識の声を伝えてくれますから、砂生さんの実践的な瞑想法を学び取る とともに、私が本書で紹介した多くのパターンを、潜在意識の底に送り込むことによって、或日の瞑想の機会にどんなビジョンで蘇って来るかを、楽しみにしたらいかがかと思います。 それにしても、不思議な巡り合わせで本書を播いたことで、何等かの形で人類の遺産を手にしたと感じる人があれば、それは図面として叡知の一端をシンボライズした古人や、それらを図書館に記録として残した、多くの先人達の功績の賜物です。創造は新しいものを生み出すこと以上に、古くから伝わるものに清新な血を通わせ、新しい時代の息吹きにふさわしい形で、生命力を燃え立たせるところに基本があります。 また、二〇世紀も最後のこの時代に生きて、第二のルネッサンスを迎える時に当たり、新しい装いの下に宇宙パワーを浴びる喜びを分かち合い、宗教でも信仰でもない瞑想で結び合う人々が、「温故知新」の意昧を味わうのを目撃することは、本当に心楽しいことだと言わざるをえません。 1989年神無月 藤原肇(在カリフォルニア)
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