Mid-American Guide

3月号英文コメント(上記英文)の日本語カバーレター

編集部への声

【1・2月号の新英語版「NEW GENERATION」を参照下さい。】・・・・・・・・

◆貴紙二月号を十日余り前に拝見して、一月号の拙稿に対しての二通の手紙拝見。
米国日本学者たちの語学能力の向上が、日米両国のよりよい相互理解に対して、
決め手ではないかという問題提起に応え、貴紙が素早い反応をすると共に、貴重
なスペースを読者のために割き、討論の場を提供した見識に敬意を表します。私
のようなビジネスマンではなくこの問題に精通した各地の先生方を始め、子供を
持つ両親や若い世代の自由な発言を通じ問題提起を建設的な方向で生かして、新
発足のMA−NGが育つよう声援を送ります。
 ロータリークラブの友人たちに貴紙の記事を見せ、事情を説明し、アメリカ人
の見解を聞いたら、招かれて会議に出ての批判は不用意だとか、外国生まれ英語
で討論して不利なのに、なぜ日本学者の専門の日本語で議論しないかなど、興味
深い意見を聞かせてくれました。また、英国人の友人はここでは口より腕で、大
統領や司法長官でも意見が異なれば、生命の安全が損なわれる点を思えば、ハイ
ドパーク流の意見表明は禁物だと忠告されました。でも、米国が言論の自由の国
だと私は信じています。ジョンソン博士は手紙を交わす間柄だし、シーラ夫人が
会議に招待してくれたので、よもや人種偏見やレイシストという、不当な言葉を
投げかけられるとは、夢にも思わなかったので驚きました。
 シカゴに住む貴紙の読者から、見の安全に気をつけて欲しいと電話を受け、親
しいジョンソン博士でさえ、あんなに感情的な反応をしたのだから、配慮不足だ
ったかと自己批判しました。発言は激しいが人柄は温かな彼でも、周辺に過激な
人がいるのを知るだけに、喧嘩を売ったと早合点する人がないように祈ります。
彼のあんな感情的な言葉を見ただけで、誤解して私に反発を抱く人が現われたら、
よりよい日米間のための発言が裏目になり、太平洋が波立っている時だけに気懸
かりです。こういう非常に本質的な議論は、学術雑誌ではよく行われていますが、
貴紙のような広い大衆が対象のメディアでは、果たして適当だったかと反省が必
要だとはいえ、レイシスト呼ばわりは全くアンフェアーです。
 そう考えて、問題提起の理由と論点につき、二月号の手紙への返事を兼ねた形
で、英語のコメントを送った次第ですが、誤解のないよう論理的にまとめるため
に、こんな短いものを書くのに五日も費やしました。【本号「NEW GENERATION」
を参照下さい。】……日本語なら三時間で済むでしょうが、フランスで教育を受
けた私の英語力では、微妙な表現のために二十倍も時間が必要です。英語が得意
な若い人たちが参加して健闘し21世紀のために実りある議論に発展させて下さい。
 また貴紙に連載中のカップさんのように日本語で書くという必要条件を満たす
若い世代のアメリカ人の活躍を見れば、ここにあるべきジャパノロジストの姿が
あり、世代の交替が解決の決め手になりそうです。お互いにスムーズな意思疎通
を計ることが日米関係がよりよい方向に導くと期待し、貴紙の発展を祈りつつペ
ンを置きます。 

                                  敬具

ミッド・アメリカ・ガイド編集長殿

            1996年3月3日              藤原肇

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